タスキHDが「AIレジデンス」構想を始動。「AI家電」ではなく、家そのものに知性を

 取材/LWL online編集部

スマートホームの次に来るのは、「AI家電」が並ぶ家ではなく、住宅そのものが住む人を理解する「AIレジデンス」なのかもしれない。タスキホールディングスは、グループ会社ZISEDAIを中核に、AIを活用した次世代住宅のPoC(概念実証)を開始した。同社が見据えるのは、照明、空調、窓まわり、セキュリティなどを設計段階から統合し、Home OSとAIによって住宅全体を自律制御する未来だ。LWL onlineでは同社を取材し、不動産会社が描く「住宅インフラ統合型」AIスマートホームの構想に迫った。

「デバイス連携型」の次へ。AIが住む人を理解するスマートホーム

タスキホールディングスはこれまでも、スマートロック、スマート照明、スマート家電などを採用したIoTレジデンスを展開してきた。一方で同社は、現在のデバイス連携型スマートホームについて、「スマートに家電を使うもの」という限界も認識している。

同社執行役員の淺井 亨氏は、「本当にスマートな家」を、設計・建築段階から設備がビルトインされ、それらが統合された住宅として説明する。現在のホームオートメーションではHome OSやコントローラーという「脳」は存在していても、最終的にタッチパネルなどを使って判断し、操作するのは人間だ。その「判断」をAIへ移していく未来を描く。

居住者がどこにいて、何をしているのか。あるいは、日々どのような生活を送り、どのような環境を快適だと感じるのか。センシングによって人の行動を把握し、AIが生活文脈を理解した上で、住宅に組み込まれた照明や空調などを制御する。

「住んでいる人をまず理解して、生活の行動文脈を理解した上で最適化する。それは家庭によって、人によって違う」と淺井氏はAIスマートホーム像について語る。

同社では、今回の構想を「人が使う住宅」から「人を支える住宅」への進化と位置付けている。

なぜ不動産会社から「Home OS」という発想が生まれたのか?

LWL onlineが今回の発表に注目した理由は、AIという言葉そのものではない。住宅を起点としてAIを考えているからだ。

日本のスマートホームは、家電やITの側から発展してきたものが多い。そのため、高性能なセンサーやAIを搭載した製品が登場しても、それぞれが独立した「スマート家電」で終わってしまいやすい。

だが、同社が描く方向は逆だ。

まず住宅があり、そこに空調、照明、窓まわり、セキュリティなどが設備として組み込まれる。それぞれ異なる規格や建築プロトコルをHome OSが統合し、その上位でAIが住宅全体を理解する。

淺井氏は、その発想が生まれた背景について、「不動産を開発し住宅として売っていく側がAIを使うという発想でなければ、本当にいいものはできないのではないか」と話す。

これは、LWL onlineがこれまで取り上げてきた「住宅インフラ統合型」のスマートホームとも近い。

「AIレジデンス」はまだ始まったばかり。PoCで探る住宅の新たな価値

もっとも、今回発表されたAIレジデンスは、完成したシステムではない。

むしろ、方向性が固まり、これから具体化していく段階にある。

同社が現在主力として供給しているのは一棟収益マンションだ。そこで、専有部の照明・空調などからAI化を始めるのか。あるいは共用部の管理や清掃ロボットなどから導入するのか。一棟すべてを最初からフルスペックのAIレジデンスにすることが、投資家にとって本当に価値になるのか。

こうした点をマーケティングリサーチとPoCによって検証していく。

「ようやくコンセプト、概念的なものができて、段階的にやらなければいけないところまで来た」と淺井氏は説明しているが、自社開発と他社との協業をどこまでわけるのかについても、これから検討する段階だという。

公表されているPoCでは、居住者の生活パターンや行動文脈の理解、センサーや生活データを使った住環境最適化、照明・空調・家電等の自律制御、見守り、さらに家庭内ロボティクスとの連携までを検証テーマに掲げている。

AIが入るべきなのは「家電」ではなく「住宅」なのかもしれない

今回の取材で、とりわけ印象に残った淺井氏の言葉がある。

「冷蔵庫も家電も空調も、一個一個にAIが付いていてもしょうがない気がする。やっぱりトータルで統合する。住宅インフラ型ということだと思う」

生成AIの普及以降、あらゆる製品に「AI」という言葉が付くようになった。

だが、住宅という空間を考えたとき、本当に必要なのは、AI搭載家電が個別にバラバラに存在することではなく、住宅が人の動きを見て、その情報をもとに各設備を動かすことなのではないだろうか。

同社は今回のAIレジデンスの構想を、そうした方向へ進むためのスタート地点として位置付けている。

日本のスマートホームが「家電をスマートに使う家」から「住む人を理解する家」へ進めるのか。その答えはまだ出ていない。

だからこそ、不動産を基軸とする企業から「住宅インフラ統合型」「Home OS」「AI」「ロボティクス」をひと続きに捉える構想が出てきたこと自体が非常におもしろい。

AIレジデンスがどこまで具体的な住宅へ落とし込まれていくのか。LWL onlineでは同社の今後の事業を継続して追っていきたい。

  • 社名        :株式会社タスキホールディングス 
  • 代表者    :代表取締役社長 柏村 雄
  • URL     :https://tasuki-holdings.co.jp/
  • 本社      :東京都港区北青山2-7-9 日昭ビル7F
  • 設立      :2024年4月1日
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    LWL online 編集部

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