VIVANT「Venus G2」日本発売。「飲み頃温度」まで整えるAI電動ワインチラー
取材/LWL online編集部
台湾発のワインライフスタイルブランド「VIVANT(ヴィヴァン)」が、AIソムリエと連携するポータブル電動ワインチラー「Venus G2」を2026年8月10日に日本で発売する。8~20℃の精密な温度管理に対応し、AIが提案したワインごとの推奨提供温度をBluetooth経由で本体へ反映。VIVANTが「Smart Wine Ecosystem」と呼ぶ新しいワイン体験から、AI家電の未来を読み解く。
VIVANTからポータブル電動ワインチラー「Venus G2」登場
台湾発のワインライフスタイルブランド「VIVANT(ヴィヴァン)」が、ポータブル電動ワインチラー「Venus G2」を2026年8月10日に日本で発売する。あわせて、ワイン選びやペアリング、適切な提供温度などを提案する「AIソムリエ Chatbot」の日本語対応も開始した。販売価格は530米ドルで、日本円参考価格は84,000円(税込、為替レートにより変動)。8月10日に販売を開始し、VIVANT公式サイトでは9月1日から順次発送するとしている。
AIソムリエはワインについて教えてくれるだけではなく、AIが提案した温度をBluetooth経由でVenus G2へ送り、実際のワインの温度管理まで自動的につなげる。VIVANTが「Smart Wine Ecosystem」と呼ぶこの仕組みは、AIがデジタル空間から現実の生活環境へ入り込み始めたことを象徴する、新しいワイン体験といえそうだ。
ワインは「何を飲むか」だけでなく「何度で飲むか」
ワインの味わいを左右する要素として、ブドウの品種や産地、ヴィンテージ、グラスなどと並んで重要なのが提供温度だ。
たとえば、同じワインでも温度が低すぎれば香りが開きにくくなり、反対に高すぎればアルコール感が強く感じられることが多い。赤ワインだから常温、白ワインだから冷蔵庫から出してすぐ、といった単純な区分だけでは、それぞれのワインが持つ個性を十分に引き出せない。
VIVANTの提案は、ボトル単位で提供温度をコントロールするというものだ。
新製品のVenus G2は半導体を用いた電動式のワインチラーである。対応温度は8~20℃で、赤ワインから白ワイン、ロゼ、スパークリングまで幅広くカバーする。高性能マイクロチップと赤外線センサーによってボトル温度を検知し、設定した温度を制御する。公式サイトでは目標温度を±1℃以内で維持するとしている。
VIVANT「Venus G2」、氷も水も使わず8~20℃で温度をキープ
一般的なワインクーラーやアイスバケツとの大きな違いは、氷や水を使わず、能動的に温度をコントロールできることにある。
Venus G2は着脱式の18V/5,500mAhバッテリーを搭載し、使用環境や設定温度に応じて約2.5~4時間のコードレス使用が可能である。ダイニングテーブルはもちろん、テラスやホームパーティー、プライベートダイニングなど、電源ケーブルを見せたくない空間にも置きやすい。
氷を使わないためボトルのラベルが濡れないことも、上質なテーブルセッティングを考えればメリットといえよう。
本体にはインナーライトを備え、ディスプレイにはアプリからメッセージなどを表示することもできる。単なる調理家電というより、ワインボトルとともにテーブル上に置かれることまで想定したプロダクトとしてデザインされている。
本体サイズは235×130×230mm、重量はバッテリーを含め約2.69kg。カラーはブラックとレッドを用意する。


AIソムリエの推奨温度を「Venus G2」へワンタップ同期
もうひとつの柱となるのが「VIVANT Wine App」だ。

VIVANTによれば、独自のワイン特化型AIエンジンには50か国以上、1,000を超える原産地呼称、20万を超えるワイナリー・生産者、数百万件のワインラベルに関するデータが活用されている。
アプリではワインのラベルをスキャンすることで、ブドウ品種や産地、ヴィンテージなどの情報を確認できるほか、「AIソムリエ Chatbot」に自然な言葉で質問することができる。
例えば、レストランのメニューやワインリストをもとに料理とのペアリングを提案したり、ワインごとの提供温度やデキャンティング時間を案内したりするといった使い方が可能である。
さらに、VIVANTはもう一歩踏み込む。
AIソムリエが提案した提供温度を、Bluetoothを介してVenus G2へワンタップで送信できる。ユーザー自身が「このワインは何℃が適温なのか」と調べて、本体を設定し直す必要がない。
なお、AIソムリエ Chatbotの日本語対応は7月29日に開始され、現時点ではiOS版で提供されている。Android版も今後提供される予定だ。
VIVANTの「Smart Wine Ecosystem」が目指すワイン体験
VIVANTがVenus G2とAIソムリエ Chatbotを通じて実現しようとしているのが、「Smart Wine Ecosystem」と呼ぶ仕組みだ。

VIVANT Wine Appでは、ワインを「選ぶ」「知る」だけでなく、AIが推奨した提供温度やデキャンティング時間を提示し、その設定をBluetooth経由でVenus G2へ反映できる。つまり、AIによる情報提供と、家電による物理的な温度制御がひとつの体験としてつながっている。
VIVANT創業者のDaniel Fu(傅大行)氏は、同社の使命を「ワイン本来の魅力を、誰もが最適な状態で楽しめる世界をつくること」と説明する。そのうえで、ワインの魅力を最大限に引き出す鍵として「提供温度」を挙げ、半導体分野で培ってきた精密な温度制御技術とAIを融合することで、専門的な知識がなくても質の高いワイン体験を得られる新しいスタンダードを提案していくとしている。
また、VIVANTのグローバルブランドアンバサダーであり、2025年のASIアジア・パシフィック最優秀ソムリエに輝いたReeze Choi(リーズ・チョイ)氏も、一本のワインには造り手の情熱や土地の個性、その年の気候などが込められており、その魅力を余すことなく味わうために提供温度は欠かせないと指摘する。
Choi氏は、VIVANTならではの価値が、繊細な温度管理を日常のなかで容易に実現することで、『ワインを飲む瞬間』だけでなく、最適な状態へと整え、提供するまでの時間そのものを豊かにすることにあると指摘する。

ここには「Smart Wine Ecosystem」という考え方の本質があるのではないだろうか。
ユーザーに高度なワインの知識や複雑な機器操作を求めるのではなく、AIとテクノロジーを裏側で連携させることで、ワインそのものを楽しむことに集中できる環境をつくる。主役はAIでもワインチラーでもなく、あくまで一本のワインと、それを囲む食事や会話、そしてそこで過ごす時間である。
AIは「答える」存在から、「環境を整える」存在へ。AI家電の未来
そして、この「Smart Wine Ecosystem」は、これからのAI家電を考えるうえでも示唆的である。
これまで生成AIを活用したサービスの多くは、質問に答える、情報を整理する、ユーザーに適した商品や行動を提案するといった、いわば「情報のレイヤー」にとどまっていた。
VIVANTはその先にある。
「このワインをどのように楽しめばよいか」という問いにAIが答え、その回答のひとつである「最適な提供温度」を実際の機器へ伝え、Venus G2が物理的な温度環境をつくり出す。「理解する」「判断する」「実行する」という一連のプロセスがつながり始めているのである。
たとえば、「くつろぎたい」「よく眠りたい」「映画を観たい」といった人の意図をAIが理解し、その目的に適した照明や室温、シェード、音響などをそれぞれの機器が自動的に整える。これからのAI家電やスマートホームで重要になるのは、個々の機器にAIが搭載されていることそのものではなく、AIが人の意図を理解し、複数のテクノロジーを介して現実の環境へ反映できることなのかもしれない。
そう考えると、AI家電におけるユーザーインターフェイスも変わっていくだろう。
人が「温度を12℃に設定する」「照明を30%まで落とす」といった数値や操作方法を指示するのではなく、「このワインを最高の状態で楽しみたい」「心地よく食事をしたい」と目的だけを伝え、その意図をAIが解釈し、必要な機器を適切に制御する。このように、操作そのものを意識させない方向へと進んでいくことだろう。
ラグジュアリーな住空間において求められるテクノロジーも、本来は同じ方向を向いている。機器の存在や複雑な操作を前面に押し出すのではなく、テクノロジーを空間や体験の裏側へと溶け込ませ、人が本来楽しむべき時間の質を高める。
AIと精密温度制御を組み合わせたVIVANTの「Smart Wine Ecosystem」は、まだワインという限定された領域での試みではある。しかし、「AIが答える」だけでなく、「AIが現実の環境を整える」という発想は、これからのキッチンやダイニング、そして住まい全体へと広がっていくAI家電のひとつの未来像を示している。

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LWL online 編集部