四角い部屋には“曲線”のサウンドを。インテリアスタイリスト・窪川勝哉氏が語るDEVIALETの真価

オーディオ&サブカルライター/杉浦みな子 

フランスのラグジュアリーオーディオブランド、DEVIALET(デビアレ)の新しいオフィシャルストアが、大阪・心斎橋の新たなランドマークとして話題の「クオーツ心斎橋」にオープンした。本記事では、開業記念イベントで語られたスタイリスト・窪川勝哉氏の言葉を軸に、「インテリア目線で選ぶDEVIALETの真価」を紐解いていきたい。

大阪・心斎橋から加速する、DEVIALET「第二章」の熱気

フランス・パリにヘッドクオーターを構え、従業員の35%が開発陣という技術特化型カンパニーであるDEVIALETは、19年を超える開発の歴史の中で250以上の国際特許を取得し、世界100以上の権威あるアワードを受賞してきた。2010年の初代アンプ誕生、2015年の「Phantom」発売を経て、その先進的な音響技術とデザイン性から経済誌『ブルームバーグ』に「史上最もクレイジーなワイヤレススピーカー」と評されたこともある。 

そして2024年には次世代アンプ「Astra(アストラ)」、翌2025年には「Phantom」の新世代シリーズを発表。DEVIALETは今まさに、テクノロジーとラグジュアリーを融合させるオーディオ開発「第二章」の真っ只中にいる。その新時代の象徴として、心斎橋に直営店がオープンした意義は極めて大きい。 

DEVIALET(デビアレ)の新たなオフィシャルストア「DEVIALET クオーツ心斎橋店」

先行して公開された前編記事では、「クオーツ心斎橋」の中に専用試聴室を備え「暮らしの中での音の響かせ方」を提案する新店舗の全貌をレポートした。 

上記の記事をご覧いただくとわかると思うが、同店の佇まいからはオーディオを単なる再生機器ではなく、家具やフレグランスのように「空間の質を高めるライフスタイル要素」として提案する思想が垣間見える。この「音と空間の融合」というテーマをさらに深掘りしたのが、オープン記念イベント後半で行われたトークセッションである。 

「キテレツなスピーカー」がインテリアの常識を覆す

それは、イタリアの鬼才デザイナー、ガエターノ・ペッシェが設計した独創的な建築「オーガニックビル」で開催されたこのイベントのハイライトだった。数々のインテリア雑誌やメディアで空間スタイルを提案するインテリア&プロップスタイリスト・窪川勝哉氏が登場し、DEVIALETの日本輸入代理店であるTHT Japan 代表取締役・高橋和哉氏を聞き役に、熱い会話を繰り広げた。

実は自他ともに認めるオーディオ好きである窪川氏は、DEVIALET「Phantom」との出会いをこう振り返る。 

窪川:「最初に見た時は、正直『キテレツなスピーカーがきたぞ』と思いました(笑)。しかし、優れたデザインと音という本質に魅了され、今ではすっかりDEVIALETのファンです」 

それを聞いてTHT Japanの高橋氏も、「発売当初は『これは空気清浄機ですか?』なんて言われたほど、従来のオーディオデザインからはかけ離れていましたからね」と笑う。 

続いて窪川氏は、空間演出をプロデュースするプロフェッショナルとして、住空間における「音」の重要性を五感のシチュエーションに例えた。 

窪川:「インテリアの構成要素の中で、部屋にちょっとしたオブジェを置くだけでは空間の雰囲気はそこまで劇的には変わりません。しかし、『香り』『光(照明)』、そして『音』の3つは、空間そのものを一瞬で支配する力を持っています。ここが変わるだけで、住まいの居心地は全く別物になる。だからこそ、スタイリストとしてここには徹底的にこだわりたいのです」 

さらに、従来のオーディオが抱えていた“ある課題”を指摘しながら、スタイリスト視点によるDEVIALETスピーカーの魅力を語る。 

窪川:「通電するオーディオ機器は配線の課題もあり、インテリア空間と調和させるのが難しいアイテムなのです。特に、従来の有線接続による5.1chシステムのように、床をケーブルが這うレイアウトは、インテリア目線では正直厳しい。また、重低音を担うサブウーファーは床にベタ置きするため、空間の視覚的な重心がどうしても下に集中して、部屋が重たくなってしまいます。 

その点、DEVIALETのスピーカーはデザインの美しさもさることながら、ネットワーク接続でワイヤレスシステムが組めるので、5.1chの配線問題をクリアできますし、専用のウッドスタンドを用いてセッティングすることで、部屋の重心を上げられるのです。スタンドありきのセッティングでデザインされていることで『下に重くなりすぎない』という構造の提案がなされているんですね。これはインテリアを構成する上で、非常に大きなアドバンテージです」 

実際に今回のイベント会場の音響でも、ワイヤレスで組んだDEVIALETのスピーカー「Phantom」による4chシステムを使用していた。業務用システムのため、細かい接続仕様は一般家庭用とは異なるものの、スピーカー本体の基本的な設置性は共通。そのシンプルでスマートな設置スタイルを実感できる場となっていた。 

プレゼンテーションのマイク音声やデジタル楽器演奏を鳴らすPAシステムとして、会場内に配置された「Phantom(ファントム)」による4chシステムを採用。Dante(ダンテ)のネットワーク規格で組まれた先進的システムによる高品位サウンドを体験した 

直線的な空間に「動き」をもたらす、ラウンドフォルム 

さらに窪川氏の解説は、建築と家具、そしてスピーカーの「形状」の関係性へと深まっていく。 

窪川:「一般的な現代のビルや住宅の室内は、そのほとんどが直角と四角形で囲まれています。そこに普通の家具をセッティングしていくと、どうしても直線ばかりの硬い空間になってしまう。しかし曲線(アール)が加わると、空間に心地いい『動き』が生まれるんですね。DEVIALETスピーカーが持つフォルムにもその効果があります。 

また、インテリアコーディネートにおいては、自由に設置できるラウンジチェアやイージーチェアを使って空間に動きを作るテクニックもありますが、DEVIALETスピーカーも自由に置きやすいので同じ役割を果たしてくれます。どこから見ても美しいフォルムだからこそ、置き場所の角度を制限されず、自由にレイアウトできる。これはインテリア目線で見て極めて優秀です。 

スピーカーといえば『黒くて重たい直方体』という固定観念が強いですが、DEVIALETスピーカーがある今、そうした従来型の語り口は過去のものになっていくと思いますね」 

実際、そのユニークな佇まいは世界中のセレブリティを虜にしている。海外の高名なテックレビュアー、マルケス・ブラウンリー氏のレビュー動画をきっかけに、あのイーロン・マスク氏が反応して即座に実物を購入したというエピソードも、DEVIALETスピーカーが持つ強烈なプロダクトデザインの魅力を物語っている。 

トレンドの「マット仕上げ」とニュアンスカラーが秘める美学

また、昨今のインテリアの潮流として、人々が空間に「癒やし」を求める傾向が強まっていると窪川氏は言う。 

窪川:「かつてはモルタル系のような、少し青みがかったクールなグレーが長らくトレンドでしたが、最近は温かみのあるグレーやアースカラーの小物が好まれています。ミラノの家具見本市などを見ていても、最新のソファのフォルムはどれも美しくカーブしている。DEVIALETスピーカーの優しいホワイトカラーや優美なカーブは、まさにこの世界的なラウンドフォルムのトレンドと完全にシンクロしています」 

さらに筐体仕上げの質感についても、プロならではの緻密な考察がなされた。 

窪川:「グロッシー(光沢)な筐体は、部屋の照明などの環境光を反射しすぎて、ときに光が強く出すぎてノイズになることもあります。その点、DEVIALETスピーカーは美しいマット仕上げを採用していて、これも今の時代性に非常にマッチしている。 

さらに驚かされるのは、その色彩のニュアンス。一見すると黒に見えるモデルでも、光が当たると深いグリーンが浮かび上がってくるような、繊細な色設計がなされています。『なんとなくの選択肢』で単調な黒を選んでしまうと空間は途端に安っぽくなりますが、DEVIALETの黒には深いニュアンスがある。光の受け方まで完璧に計算されているなと感心させられます」 

DEVIALETスピーカーの高品位な筐体仕上げ、その最たる例は、フランスのパリ・オペラ座との高品位なパートナーシップに見られる。オペラ座の入り口近くにショップを構えるDEVIALETは、パリ・オペラ座との公式コラボレーションモデル「Phantom Opera de Paris」という超プレミアムなスピーカーも手掛けている。 

その筐体にあしらわれるゴールドは、実はパリ・オペラ座のガルニエ宮の修復を手がける職人が本物の金箔をガルニエ宮と同じ技法で1点ずつ施しているのだ。現代の音響イノベーションと、パリ・オペラ座の伝統的なラグジュアリーが交差する美学がそこにある。 

「音」というインテリアをどう選ぶか?

今回語られた窪川氏の言葉を通して、インテリアのトレンドに寄り添いながら、圧倒的なサウンドを放つDEVIALETスピーカーの姿が改めて見えてきた。私たちの暮らしの空間に、「音」という目に見えない最高のインテリアをどう迎え入れるか? 新しく誕生した「DEVIALET クオーツ心斎橋店」は、そんな豊かなインスピレーションを与えてくれる、新たなカルチャースポットとなりそうだ。 

DEVIALET公式サイト
DEVIALET by THT Japan
クオーツ心斎橋フロアガイド

  • オーディオ&サブカルライター

    杉浦みな子

    1983年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。在学時は映画研究会で映像制作に勤しみつつ、文芸評論家・福田和也教授に師事。2010年よりAV・家電メディアの編集/記者/ライターとして13年間従事し、音楽とコンシューマーエレクトロニクス系の分野を担当。2023年独立。音楽・オーディオ・家電から、歴史・カルチャーまで幅広いテーマで執筆中。実績はこちらから→https://foriio.com/minako-sugiura

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