マリオ・ベリーニの名作ソファ、B&B Italia「Camaleonda(カマレオンダ)」限定版登場
取材/LWL online編集部
1970年に誕生し、半世紀を超えて世界のインテリアシーンで存在感を放ち続ける、B&B Italiaの名作ソファ「Camaleonda(カマレオンダ)」。マリオ・ベリーニがデザインしたこのモジュラーソファに、7色の新ファブリック「Bellini(ベリーニ)」をまとった特別限定エディションが登場した。Camaleondaは50年以上前のデザインでありながら、なぜいまも「現在形」であり続けるのか。その理由をデザインの歴史とともに読み解く。
B&B Italia「Camaleonda」に7色の「Bellini」をまとった限定エディション
B&B Italia Tokyoは2026年8月10日、Camaleondaの「Exclusive Edition」を発表した。2026年11月10日までの期間限定で展開される。
今回採用されたのは、デザイナーであるマリオ・ベリーニの名を冠した新ファブリック「Bellini」。高めのパイルと、わずかに虹色の光沢を帯びた表情を持ち、横糸にスラブヤーンを採用することで、生地表面に繊細な凹凸と奥行きをつくりだす。Camaleonda特有の豊かな曲面を、素材の表情によってさらに際立たせる。
また、マーチンデール試験6万回の耐摩耗性能を備え、住宅はもちろん、人の往来が多い公共空間での使用も想定できる耐久性を持つ。従来Camaleondaに用いられてきた「Licata」の厚みと「Enia」のスラブ表現、それぞれの特徴を兼ね備えたファブリックに仕上がっている。

限定版では7色を用意し、3つのモジュールを組み合わせたストレートタイプと、オットマンを加えたL字タイプの2種類が設定され、「人気の高い組み合わせ」を特別価格で提供する。価格は問い合わせとなる。



Camaleondaとは? 1970年に生まれた「姿を変えるソファ」
Camaleondaという半世紀以上前の家具が、2026年のいまも新しいファブリックをまとい、「新作」として成立していることに驚かされる。
Camaleondaが発表されたのは1970年である。
大きく膨らんだクッションを連続させたような、彫刻的ともいえるフォルムが特徴だ。低い重心と豊かなボリューム感、深く刻まれたカピトーネは、一目見ただけでCamaleondaとわかるほど強い個性を持っている。
また、Camaleondaは複数のシートを自由に連結し、空間や用途に応じて構成を変えることのできるモジュラーソファとして設計されている。
実は、そのCamaleondaという名称自体も、その思想を表している。というのも、「Camaleonda」は、環境に適応して姿を変えるカメレオンを意味するイタリア語「camaleonte」と、「波」を意味する「onda」を組み合わせ、ベリーニ自身が作った造語である。ソファが環境に応じて姿を変えることと、波のような曲線を描くこと。この二つの特徴が名前に込められている。
モジュール同士をつなぐケーブル、フック(カラビナ)、リングの仕組みも、この自由度を成立させるためだ。固定された完成形を提示するのではなく、住む人や空間に応じて家具そのものが姿を変える。1970年に設計されながらも、その発想は現在の住宅にも馴染む。
2020年、誕生50年で「復刻」ではなく現代的に再設計
Camaleondaは誕生から50年となる2020年、B&B Italiaによって再び製品化された。オリジナルをそのまま複製しただけの「復刻」ではなかった。
マリオ・ベリーニとB&B Italiaの研究開発部門は、オリジナルのプロポーションやバックレスト、アームレスト、特徴的なカピトーネなど、CamaleondaをCamaleondaたらしめるデザインを残しながら、構造や素材を現代の技術によって再構築した。ケーブル、フック、リングによるモジュール構造も、オリジナルの思想を引き継ぎつつ、現代的に再生されたのだ。
また、リサイクルまたはリサイクル可能な素材の採用や、分解しやすい構造など、現代に求められるサステナビリティも意識され、1970年の「形」は守りつつも、その内部には2020年代の家具としての価値観が組み込まれたのである。
Stella McCartneyから「Bellini」へ。張地で時代を更新するCamaleonda
さらに、2023年にはB&B ItaliaとStella McCartney(ステラ・マッカートニー)による特別仕様も登場した。ステラ・マッカートニーの「S-Wave」モノグラムをあしらった新たなファブリックによって、Camaleondaという1970年のデザインが、ファッションとサステナブルラグジュアリーという異なる文脈から再解釈されたのである。
そして2026年、今回の『Bellini』が登場した。
Camaleondaの基本的な造形を大きく変えることなく、張地という「表層」を変えるだけでも、まったく異なる時代の表情を獲得している。あたかもファッションにおいて、同じシルエットの服が素材によって異なる意味を帯びることにも似ている。
ソファにとって、ファブリックがつくりだす色、光沢、テクスチャー、触感は、空間全体の印象を左右する。BelliniがCamaleondaの豊かな凹凸に新たな陰影を与えるように、素材を変えることは、名作を現在のインテリアへと接続し直すことでもある。
なぜCamaleondaは50年以上更新され続けるのか?
「50年以上前の名作家具がなぜいまも古びないのか」という疑問に、Camaleondaはひとつの答えを与えてくれる。
デザインが完成された「形」であると同時に、変化する余地を最初から内包した「システム」だからかもしれない。
モジュールを組み替えることによって、住まいやライフスタイルの変化に対応でき、ファブリックを変えることによって、時代をまとわせることが可能である。さらに、構造や素材を更新すれば、環境性能や製造技術の変化にも適応できるのだ。
Camaleondaには、その名前が示すとおり、最初から「変化すること」そのものがデザインされていたのだろう。
デザイン史に残る名作を、博物館の中に保存するのではなく、現在の暮らしの中で使い続けるためには、オリジナルへの敬意と同時に、時代に応じて更新していくことも必要になる。
今回登場した7色のBelliniも、Camaleondaが歩んできた長い歴史に加えられる、新しい一章といえるだろう。
名作家具とは、時代を超えて「変わらない」ものではなく、時代が変わっても、その変化を受け入れられるものなのかもしれない。
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