yomosugara「Suiren」8月31日発売。庭を「照らす」から、夜景を「つくる」屋外照明へ
取材/LWL online編集部
睡蓮の静けさを光に。yomosugara「Suiren」は3サイズを展開 Suirenがモチーフとしたのは、水面に浮かぶ睡蓮の葉だ。 円盤状の灯具を透明な層が覆う独特の造形によって、澄んだ水の中に光が包み込まれているよう […]
睡蓮の静けさを光に。yomosugara「Suiren」は3サイズを展開
Suirenがモチーフとしたのは、水面に浮かぶ睡蓮の葉だ。
円盤状の灯具を透明な層が覆う独特の造形によって、澄んだ水の中に光が包み込まれているような透明感を表現。庭の植物や石、水、周囲の暗がりと溶け合いながら、豊かな風景をつくることを狙っている。
ラインアップは直径410mmの「Suiren 410」、310mmの「Suiren 310」、210mmの「Suiren 210」の3モデルを用意。高さもそれぞれ280mm、210mm、140mmと異なり、複数のモデルを組み合わせて配置することによって、均質になりがちな屋外照明に自然な高低差とリズムを生み出す。ひとつの灯具で広い範囲を照らすのではなく、複数の光を景色の中に点在させるという考え方が背景にあるのだろう。
仕様はいずれもアルミとアクリルを使用した24Vタイプ。税別価格はSuiren 410が26万円、310が19万5000円、210が16万8000円となる。



複数のラインアップをそろえていることから、本来は均一ではない庭という環境に合わせ、光の高さやボリュームにも差をつけることで、「器具を並べる」のではなく「風景を構成する」という設計思想が見えてくる。
「和風照明」ではなく、「日本の夜」をデザインするyomosugara
yomosugaraというブランド名は、「夜通し」「一晩中」を意味する日本の古語に由来する。
ブランドが着目したのは、行灯などの伝統的な照明器具そのものではなく、夕暮れから夜へと移り変わる薄暮や、川や池に反射する月明かりなど、日本人が自然の中で感じてきた「光」のあり方だ。
タカショーデジテックは、現代建築における「和」の表現が洗練されてきた一方、屋外照明については伝統的な行灯やその意匠を取り入れた器具が中心だったと指摘する。yomosugaraでは、形ではなく自然と光の関係から「和」を捉え直そうとしている。

その思想はSuirenにも明確に表れている。
睡蓮をリアルに模倣するのではなく、水面、透明感、静寂といった要素を抽象化し、現代的なプロダクトへと変換する。それによって、伝統的な日本庭園だけでなく、モダンな住宅やホテル、リゾートなどにも取り入れやすいデザインとなっている。
yomosugaraが狙っているのは、「和風」ではなく、「日本的な夜の感覚」をデザインするという領域なのだろう。
タカショーデジテック×Tangent、屋外照明とアートの境界へ
yomosugaraを共同で手掛けるのは、屋外照明を長年手掛けてきたタカショーデジテックと、ロンドンと東京を拠点とするデザインエンジニアリングスタジオTangentだ。
Tangentは2015年にロンドンで創業。LexusやHermèsなどへのデザインやコンセプト提供をはじめ、アート、プロダクト、テクノロジー、都市空間まで幅広い領域で活動している。タカショーデジテックとは以前から「INAHO」や高野山・恵光院の壁面アート「月輪(がちりん)」などで協業し、2023年にはパートナー契約を締結した。
屋外で使用する照明には、防水性や耐候性をはじめ、アート作品とは異なる実用品としての条件が求められる。一方で、空間の印象を決める照明には、スペックだけでは説明できない感性的な表現も必要になる。 屋外照明の設計・製造ノウハウを持つタカショーデジテックと、アートとエンジニアリングを横断するTangentの組み合わせだからこそ、yomosugaraは照明器具とランドスケープ、さらにはアートの境界を横断するプロダクトになっているのだ。
ミラノデザインウィークを経て第2弾へ。yomosugara「Suiren」が描く日本の光
yomosugaraは2025年4月、世界最大級のデザインイベントのひとつ「ミラノデザインウィーク2025」に出展。同年7月には第1弾として、菖蒲をモチーフとした「Shobu」と、樹木に宿る精霊を表現した「Kodama」を発売した。今回のSuirenは、それに続く第2弾となる。タカショーデジテックによれば、ShobuとKodamaは宿泊施設などを中心に評価を得てきたという。

ブランドは当初から国内だけを見ているわけではなかった。日本文化への関心が高い海外の設計者やデザイナーをターゲットとし、海外市場を主軸として展開する構想を掲げている。
海外に向けて提示しようとしている「日本らしさ」が、伝統的な意匠ではなく、光と自然との関係に置かれていることにも注目したい。

ランドスケープライティングで、庭も「夜を過ごす場所」になる
住宅の照明を考えるとき議論の中心は室内である。
だが、広い開口部を持つ住宅やヴィラ、ホテル、リゾートでは、日没後、窓の外にどのような景色が広がっているかによって室内から受ける印象も大きく変わる。庭が真っ暗であれば、夜になると窓は黒い壁になる。一方、植栽や石、水辺などが抑制された光によって浮かび上がれば、窓の先まで室内空間が連続しているような奥行きを生み出せる。
だからこそ、これからのラグジュアリー住宅やホテルにおいては、ランドスケープライティングは単なる外構設備ではなくなっていくのではないだろうか。明るくするための光ではなく、暗さを残しながら、どこに光を置くかを考える。Suirenが示している光環境も、睡蓮が水面に浮かぶように、小さな光の風景をつくり、その周囲にある暗がりまで含めて夜を設計することだ。
室内の照明が「何灯設置するか」から「どのような時間をつくるか」へと変化しているように、屋外照明にも同じ変化が始まっている。
庭を「照らす」から、夜景を「つくる」へ。yomosugaraのSuirenは、日本発の屋外照明がラグジュアリーな住空間やホテルの夜をどのように変えていくのか、そのひとつの方向性を示している。

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LWL online 編集部