LIEBHERR(リープヘル)大阪ショールームが淀屋橋に開業。ビルトイン冷蔵庫を空間設計の一部に
取材/LWL online編集部
ドイツ発のラグジュアリー家電ブランド「LIEBHERR(リープヘル)」が、大阪・淀屋橋に新ショールームを開業する。2026年5月に移転オープンした東京ショールームに続く西日本の新拠点だ。ビルトイン冷蔵・冷凍機器を「空間設計の一部」として提案するとともに、NAO Taniyama & Associates監修のもと、ドイツの機能美と大阪の伝統技術・素材を融合した空間をつくり上げた。
東京から大阪へ。LIEBHERRが「空間設計としての家電」を西日本にも
2026年5月にLIEBHERRの東京ショールームは港区芝に移転・オープンした。そこでは、家具や壁面とドア面材を合わせるビルトインモデルを中心に、冷蔵庫やワインキャビネットを建築やインテリアの一部として融合させる思想が提示されていた。
LWL onlineの前回記事でも触れたように、近年の住宅、とりわけラグジュアリーな邸宅や別荘では、キッチンはリビングやダイニングと連続した生活空間になっている。
となると、冷蔵庫の課題も変わってくる。冷却能力や容量も重要だが、それだけではなく、「家具との関係性」という設計上の判断が重要になる。
ビルトイン機器の場合、後から家電を置くのとは異なり、キャビネットの寸法や扉面材、開口、動線なども含め、建築やリノベーションの設計段階から検討していく必要がある。
であるならば、ショールームの役割は、製品の展示スペースにとどまらない。新築住宅や別荘、リノベーションなどを計画する施主、建築家、インテリアデザイナーが、実際の空間のなかで冷蔵・冷凍機器の納まりや存在感を確認するための「設計の場」としての意味が強くなる。
LIEBHERRは大阪・淀屋橋という西日本の主要都市からアクセスしやすいエリアに、新たな拠点を設ける。新築や別荘、リフォームを検討する施主だけでなく、建築家やデザイナーも主な来場者として想定している。
ドイツの機能美と大阪の伝統。「Heritage & Harmonic」のショールーム
大阪ショールームの空間デザインを監修したのは、国内外のホテル、レストラン、レジデンスなどを手掛けるデザインファーム「NAO Taniyama & Associates」。
コンセプトは「Heritage & Harmonic(伝統と調和)」である。
LIEBHERRのルーツであるドイツの工業デザインや機能美に、大阪が培ってきた伝統技術や素材を交差させることで、この場所ならではのショールームをつくり出した。

空間には、大阪の伝統工芸である「大阪金剛簾」をはじめ、焼杉、木格子、スチールなど、異なる質感を持つ素材から着想を得たマテリアルが採り入れられている。
冷蔵庫を並べ、その性能を説明するだけの製品展示とは、ショールームづくりの発想そのものが異なる。
家具、素材、照明、冷蔵・冷凍機器をひとつの空間として構成することで、実際の住宅にLIEBHERRを導入したときの姿を想像できるようにしている。

NAO Taniyama & Associatesは、「Grand Hyatt Singapore」や「voco大阪セントラル」など、ホテルやレストランを中心に数多くのプロジェクトを手掛けてきた。voco大阪セントラルでも、その土地に残る歴史や記憶と、新しいホテル体験を重ね合わせるアプローチを採っている。
今回のLIEBHERR大阪ショールームもまた、ドイツのブランドをそのまま日本へ持ち込むのではなく、「大阪」の歴史的・文化的文脈を介して再構成した空間だと捉えることができる。
LIEBHERRとは? 1954年に始まった冷蔵・冷凍機器のものづくり
LIEBHERRグループは、1949年に創業者ハンス・リープヘルが移動式タワークレーンを開発したことがスタートとなる。
その後、ハンス・リープヘルは冷蔵庫市場の将来性に着目して、1954年、ドイツ南部オクセンハウゼンでブランドとして最初の冷蔵庫を製造した。以来、冷蔵・冷凍機器は同グループを構成する重要な事業のひとつとして発展してきた。

現在のLIEBHERRが追求しているのは、食品を冷やすことに加えて、湿度や空気の流れまで含めた食品の保存環境の設計である。
例えば同社の「BioFresh」は、0℃近辺の温度と適切な湿度環境によって、食材ごとに適した保存環境をつくる技術。冷蔵室と冷凍室の空気循環を分離するDuoCoolingなど、温度、湿度に加えて、空気の流れまでも含めて、食品の保存環境を設計する技術を展開している。
さらに、冷蔵・冷凍庫だけでなく、ワインキャビネットやシガーキャビネットなどもラインアップする。

前回の東京ショールームの記事でも触れたように、LIEBHERRが扱っているのは、ある意味、「収納」ではなく「保存環境」なのである。
ビルトインで家電を隠す。フリースタンディングでは機能美を見せる
大阪ショールームでも、東京ショールーム同様に、中心となるのはビルトイン専用モデルだ。
周囲の家具や壁面と同じドア面材を用いることで、冷蔵庫の存在感を抑え、キッチンやリビング空間の一部として一体化させることができる。家電の存在を消すことによって、インテリアを整えるのだ。

その一方で、ショールームにはフリースタンディングモデルも展示される。
ビルトインタイプとは異なり、こちらは逆に、冷蔵・冷凍機器そのものの造形や素材感を見せる考え方だ。

機器を隠すビルトインと、機能美をインテリアのアクセントとして見せるフリースタンディング。隠すと魅せるのあわい。どちらが優れているという話ではなく、住宅の設計やライフスタイルに合わせた選択肢を用意しているのである。
LIEBHERRが提案する、「家電を選ぶ場所」から「住空間を考える場所」へ
日本の住宅では、住宅設備と家電が別々に選ばれるケースも少なくなかった。しかし、LDKが住宅の中心となり、キッチンがインテリアの一部として扱われるようになれば、その境界も変わってくる。
建築家、キッチンメーカー、インテリアデザイナー、家電メーカー、そして施主が、従来以上に早い段階からひとつの空間について話す必要がある。
東京に続いて大阪にも体験拠点が生まれることは、LIEBHERRという一ブランドの販売網拡大だけでなく、日本におけるビルトイン家電文化の裾野を広げる動きとしても注目したい。
LIEBHERR大阪ショールームは、「高級家電をどう見せるか」ではなく、これからの住空間のなかに家電をどう設計するかを考える場所になりそうだ。
LIEBHERR 大阪ショールーム 概要
- 名称:LIEBHERR 大阪ショールーム
- 一般公開:2026年8月27日(木)
- 住所:大阪府大阪市中央区高麗橋4-6-12 日建ビル1号館 1F
- アクセス:Osaka Metro四つ橋線「肥後橋駅」7番出口より徒歩約3分/御堂筋線「淀屋橋駅」13番出口より徒歩約4分
- 営業時間:10:00〜17:30(土日・祝日を除く)
- 来場方法:完全予約制
- 空間デザイン監修:NAO Taniyama & Associates
- 専任コンシェルジュが製品や空間を案内する完全予約制で運営される。
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LWL online 編集部