横関亮太「From Flat」東京巡回展。クライアントワークとは真逆の「手遊び」から生まれるデザイン
fy7d(エフワイセブンディー)代表/遠藤義人
プロダクトデザイナーの横関亮太が、2026年4月のミラノデザインウィークで発表した個展「From Flat」の巡回展を、東京・赤坂のRYOTA YOKOZEKI STUDIOで11月8日(日)まで開催している。和紙や樹脂などのシート素材を折り、曲げ、重ねる。クライアントワークとは真逆の「手遊び」から生まれる偶然の造形が、家具や照明へと発展していく。横関本人への取材を通じて、その自由な発想とデザインの思考過程を追った。
横関亮太とは。ソニーで培った経験と独立後のデザイン活動
横関は、1985年岐阜県生まれ。金沢美術工芸大学製品デザイン学科を卒業後、2008年ソニー株式会社クリエイティブセンターに入社。ホームオーディオやバースピーカー、デジタルカメラなどを手掛けた。2017年独立とともにRYOTA YOKOZEKI STUDIOを設立。家具、家電、ライフスタイルプロダクトなど、国内外のさまざまなプロジェクトを通じてプロダクトデザインおよびクリエイティブディレクションを手がける。

自社スタジオを会場とする本展では、シート材を手で加工し、立体へと展開する過程で生まれた構造や偶然、素材の可能性に価値を見出す実験的なプロトタイプを展示しているほか、実際の作業風景も公開して横関の思考の過程まで惜しみなく公開している。


クライアントワークとは真逆。「From Flat」が探る素材と造形の可能性
「From Flat」とは、自然素材であるか化学素材であるかにこだわらず素材の多様性を認め、あらゆるシート材を再解釈し、“手遊び”から立体物を生み出すプロセスを核とするデザインテーマ。自身のスタジオで様々な素材に触れ、試行錯誤することで、予期せぬインスピレーションが得られ、プロダクトに発展していく過程が愉しいと横関は話す。
「頭では理解しているつもりでも、実際に触ってみると、テンションの入り方や肌触り、重力によって、想定外の美しいモノが偶然生まれることがあります。そんな、クライアントワークとは真逆のプロセスで、『できちゃった何か』を世の中に発信していこうという試みです」
「フラット」という言葉には、ほかにも様々な意味が込められているという。
「まさしくフラットパックのように、環境性能や可搬性に資するモノが生まれるということもありますし、個人的な思い入れとして、仕事を進めていくチーム内のメンバーの関係も互いにフラットでありたいというのもあります。デザイナー、企画者、社長、お客様、PRなどメンバーそれぞれが得意分野を生かすことで立体的なチームづくりをする。そんな関係性構築もライフワークとしてテーマに掲げています」
和紙、樹脂、竹の集成材。シート素材から生まれる家具と照明
会場には、和紙を樹脂で挟んだシート材を用いたパーテーション「うねぐも」、2枚のシートを重ねた照明「Sheet Light」、竹の集成材を生かしたスピーカー「Prayer – Player」などが並ぶ。いずれも素材の特性を起点として、造形や機能の可能性を探る試みだ。












日本の折り紙の文化に関連性はあるか尋ねると、意外な言葉が返ってきた。
「折り紙って、すでに完成し尽くされているんです。折り方の設計で何でもできてしまい
、素材の特性による影響を受けにくいのです。私自身がヨーロッパのインテリアに影響を受けているというのもありますが、“THE JAPAN”ではない、多少入り交じったものを手掛けたいのだと思います」



東京ミッドタウンとAXISでも。横関亮太が参加するデザイン展
東京ミッドタウン ガレリアB1・1Fで11月4日まで開催中の「DESIGN LIVE 2026」では、19組の国内外で活躍するクリエイターや新進気鋭作家が「みつめる」をテーマに参加。横関は、デザインジャーナリスト/キュレーターの土田貴宏の声がけに応じ、From Flatシリーズの「Sheet Light」を展示中だ。
また、六本木のAXIS ギャラリーでは、10月30日(金)から11月8日(日)、横関がプロダクトデザイナーの松山祥樹、株式会社アクシスとともに企画・ディレクションを務める企画展「Industrial Romanticism 2」が開催。昨年に続き日本を代表する企業のインハウスデザイナーのプロトタイプを一堂に集めた展覧会で、トークイベントも予定されている。オフレコ情報満載(?)なのでコチラも要チェックだ。
[展示概要]
- RYOTA YOKOZEKI STUDIO Exhibition「From Flat」
ミラノサローネで開催した個展「From Flat (フロムフラット)」の巡回展
会期:2026 年10月24日(土)- 11/8日(日) 10:30 – 19:00
会場:東京都港区赤坂2-22-17 赤坂パイオニアビル2F
https://www.ryotayokozeki.net/projects
RYOTA YOKOZEKI STUDIO「From Flat」公式ページ
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fy7d(エフワイセブンディー)代表
遠藤義人
ホームシアターのある暮らしをコンサルティングするfy7d(エフワイセブンディー)代表。ホームシアター専門誌「ホームシアター/Foyer(ホワイエ)」の編集長を経て独立、住宅・インテリアとの調和も考えたオーディオビジュアル記事の編集・執筆のほか、システムプランニングも行う。「LINN the learning journey to make better sound.」(編集、ステレオサウンド)、「聞いて聞いて!音と耳のはなし」(共著、福音館書店。読書感想文全国コンクール課題図書、福祉文化財推薦作品)など。