御代田の自然の中で日本の家具を体感。SAMNICONが「Ambient Dimensions」を開催

 取材/LWL online編集部

長野県・御代田のインテリアギャラリー「SAMNICON(サムニコン)」は、2026年7月10日(金)から12月20日(日)にかけて、エキシビション・シリーズ「Ambient Dimensions──自然の気配と溶け合う、暮らしの空間── Japanese Furniture Brands Exhibition 2026」を開催する。

本展は、プロダクトデザイナーの松岡智之氏がデザインを手がける日本の家具ブランド3社、匠工芸、広松木工、日進木工をリレー形式で紹介するもの。御代田の自然豊かな環境の中で、日本各地の家具産地が培ってきた木工技術や職人の手仕事、そして日々の暮らしに寄り添う家具のあり方を体感できる企画となる。

自然の気配とともに家具を体感する

SAMNICONは、長野県北佐久郡御代田町に構えるインテリアギャラリー。日々の暮らしに寄り添うインテリア全般を提案する場所として、家具や生活道具を単体で見せるのではなく、光、風、音、自然の気配を含めた空間の中で紹介している。

今回の「Ambient Dimensions」も、そうしたSAMNICONならではの環境を生かしたエキシビションとなる。会場では、開放的な窓から差し込む光、吹き抜ける風、木々のざわめきや鳥の声を感じながら、実際に家具に触れ、その座り心地や素材の質感、空間との調和を体感できる。

家具の価値は、スペックや価格だけでは測れず、住まいの中に置かれ、毎日の所作と結びつき、時間とともに暮らしに馴染んでいくことで、その本質が見えてくる。本展は、家具を「見る」だけでなく、身体感覚を通して味わう場として構成される。

第1弾は北海道・東神楽町の匠工芸

シリーズの第1弾として登場するのは、北海道・東神楽町を拠点とする家具メーカー、匠工芸。会期は2026年7月10日(金)から8月16日(日)まで。

匠工芸は、大雪山を望む土地で長年にわたり家具づくりを続けてきたメーカーだ。自然への敬意と素材への深い理解を礎に、職人の手仕事と技術の蓄積によって、多彩な家具を生み出してきた。

同社のものづくりは、特定の様式や技法を一方的に押し出すものではなく、それぞれのデザインが求める課題に向き合い、設計者と職人が対話を重ねながら最適なかたちを探っていく姿勢に特徴がある。

松岡智之氏との協働は2013年から続いている。松岡氏が提案する明快なコンセプトと造形に対し、匠工芸が高い設計力と木工技術で応答し、一つの家具の完成形を探求してきた。

《TAPERED》から最新作《TERRIER》までを展示

Vol.1「TAKUMI KOHGEI」では、松岡氏と匠工芸による最初の協働作であり、IFDA(国際家具デザインコンペティション旭川)入選作品でもある《TAPERED》をはじめ、《SPREAD》《FAWN》、そして最新シリーズ《TERRIER》まで、これまで発表された各シリーズから選りすぐりの作品を紹介する。

展示されるアイテムは、椅子、ラウンジチェア、ソファ、テーブル、キャビネットなど多彩だ。いずれも、日常の暮らしに自然に馴染む端整な佇まいを備えながら、身体を支える家具としての快適性にも配慮されている。

今回展示される作品は、すべて北海道産ナラ材を使用し、本展のために選定された特別なファブリックを張り込んだスペシャルバージョンとなる。素材、張地、空間の関係性まで含めて、一つの展示として体験できる点も見どころだ。

また、匠工芸が追求してきた「座り心地」も注目したいポイント。造形の美しさだけでなく、試作段階から身体感覚と人間工学的な検証を重ねることで生まれる快適性は、長く使い続ける家具にとって欠かせない価値といえる。

広松木工、日進木工へと続く5カ月間のリレー展示

「Ambient Dimensions」は、匠工芸に続き、広松木工、日進木工へと展開していく。

Vol.2は、福岡県・大川市の広松木工。会期は2026年8月21日(金)から9月27日(日)まで。松岡氏とのデザインの歩みが10年を迎える同社の家具を、SAMNICONの空間で紹介する。今回は空間提案にとどまらず、地域を巻き込んだ特別なコンテンツも予定されている。

Vol.3は、岐阜県・高山市の日進木工。会期は2026年11月13日(金)から12月20日(日)まで。飛騨の匠の技を受け継ぎながら、現代のライフスタイルに合う軽快で洗練された木製家具を手がける同社は、今年で創業80周年を迎える。本展では、新作「Ballett」も展示予定。シリーズの締めくくりにふさわしい内容となりそうだ。

北海道、福岡、岐阜。それぞれ異なる家具産地の技術や美意識が、御代田という場所でどのように響き合うのか。5カ月にわたるリレー展示を通して、日本の家具づくりの奥行きを知ることができる。

これからの豊かな暮らしを考える場所へ

SAMNICONという名称は、禅の言葉である「作務」と「而今」に由来するという。「作務」は、食事、掃除、洗濯、農作業など、仕事と生活そのものを示す言葉。「而今」は、いまこの瞬間を大切に生きるという意味を持つ。

その名の通り、SAMNICONは、暮らしの一瞬一瞬を丁寧に捉え、日々の営みの中に豊かさを見出す場所として存在している。家具や道具を単なる商品としてではなく、時間、空間、身体感覚と結びついたものとして提案している点に、このギャラリーの特徴がある。

「Ambient Dimensions」は、そうした思想を背景に、日本の家具が持つ静かな力を自然の中で体感するエキシビションだ。都会のショールームとは異なる環境で家具に身を委ねることで、住まいにおける家具の役割を改めて考えるきっかけにもなるだろう。

軽井沢や御代田をはじめとする別荘地では、自然との距離感、素材の選び方、時間の過ごし方が、住空間の質を大きく左右する。そこに置かれる家具もまた、単にデザイン性が高いだけではなく、周囲の環境と調和し、使う人の身体と時間に寄り添うものであることが求められる。

日本各地の家具産地が培ってきた技術と、御代田の自然、そしてSAMNICONの空間が重なり合う「Ambient Dimensions」。家具を通して、これからの豊かな暮らしのあり方を考える機会となりそうだ。

エキシビション概要

Ambient Dimensions──自然の気配と溶け合う、暮らしの空間── Japanese Furniture Brands Exhibition 2026

  • 会場:SAMNICON
  • 所在地:長野県北佐久郡御代田町塩野482-10
  • 会期:2026年7月10日(金)〜12月20日(日)
  • Vol.1 匠工芸(北海道・東神楽町)
  • 会期:2026年7月10日(金)〜8月16日(日)
  • Vol.2 広松木工(福岡県・大川市)
  • 会期:2026年8月21日(金)〜9月27日(日)
  • Vol.3 日進木工(岐阜県・高山市)
  • 会期:2026年11月13日(金)〜12月20日(日)
  • 営業時間:11時〜18時
  • 定休日:月・火・水曜
  • ※7月10日(金)〜8月20日(日)の期間。上記期間以外の営業日は公式Instagramを参照。
  • 取材

    LWL online 編集部

Related articles 関連する記事

  1. home Home
  2. EVENT
  3. 御代田の自然の中で日本の家具を体感。SAMNICONが「Ambient Dimensions」を開催