ルンバ史上最高の吸引力。「Roomba Max」2機種が示すロボット掃除機の進化

 取材/LWL online編集部

ロボット掃除機は、単に掃除を代行する機械から、床材に応じて吸引と水拭きを使い分け、清掃後のメンテナンスまで担う「床管理ロボット」へ進化している。アイロボットジャパンは、ルンバ史上最高の吸引力を備えた「Roomba Max 775 Combo」と、吸引清掃に特化した「Roomba Max 715 Vac」を発売。異なる住環境に応える2機種から、ロボット掃除機の次なる成熟を読み解く。

ロボット掃除機の評価軸は「仕上がり」へ

LWL onlineではこれまで継続的に、ロボット掃除機の段差走破性能や障害物回避、モップの自動洗浄、別荘の不在管理における活用など、その進化を多角的に追ってきた。近年のロボット掃除機は、単純な「お掃除ロボット」の段階を抜けて、部屋の構造を把握し、家具や生活用品を避けながら、床材に応じて吸引と水拭きを使い分け、清掃後のメンテナンスまで自動化する「床管理ロボット」へと変わりつつある。

そのなかで、アイロボットが新たに掲げたキーワードが「極上の床」だ。

新しいRoomba Maxシリーズでは、清掃できたかどうかだけでなく、壁際や部屋の隅、カーペットに入り込んだゴミ、拭き掃除後の床面まで含めた「仕上がり感」に重点が置かれている。これはロボット掃除機の市場が成熟し、走行性能や自動ゴミ収集の有無だけでは差別化が難しくなったことの裏返しでもある。

これから問われるのは、ロボットが掃除をしたという事実ではなく、人が床を見たとき、触れたときに、どれだけ清潔さを実感できるかということになる。

「Roomba Max 775 Combo」、ローラーモップで水拭きまで自動化

Roomba Max 775 ComboとAutoWash充電ステーション
吸引清掃と水拭きを組み合わせた全自動モデル「Roomba Max 775 Combo ロボット+AutoWash充電ステーション」。ローラーモップによる水拭きから、清掃後のモップ洗浄・乾燥まで自動化する

上位モデルとなる「Roomba Max 775 Combo ロボット+AutoWash充電ステーション」は、吸引清掃と水拭きを組み合わせた全自動モデル。2本のゴム製メインブラシ、2本のエッジクリーニングブラシに加え、「PowerSpin ローラーモップ with PerfectEdge」を搭載。毎分200回転するローラーモップが、一定の圧力を加えながら床面を拭き上げる。

ローラーモップは壁際まで伸長し、従来の円形モップでは清掃が難しかった部屋の端にも対応する。

水拭き中には温水を使用し、ローラーモップを常時洗浄。汚れたモップで床面を拭き続けることを避け、清潔な状態を保ちながら清掃を進める仕組みだ。

カーペットを検知すると、モップを持ち上げるだけではなく、専用のローラーモップカバーで覆う。水分を含んだモップとカーペットの接触を防ぐというアプローチも採用された。

AutoWash充電ステーションが「清掃後」まで引き受ける

ロボット掃除機の進化において、現在大きな役割を担っているのが充電ステーションだ。

付属するAutoWash充電ステーションは、最大90日分(使用環境により異なる)のゴミを自動収集するほか、ローラーモップの温水洗浄、温風乾燥、床用濃縮洗剤の自動投入まで行う。清掃が終わった後に人がモップを洗い、乾燥させる負担を抑えられる。

Roomba Max 775 ComboとAutoWash充電ステーションの自動メンテナンスイメージ
AutoWash充電ステーションは、最大90日分の自動ゴミ収集に加え、ローラーモップの温水洗浄、温風乾燥、床用濃縮洗剤の自動投入に対応する。画像は機能を可視化したイメージ

新たに活性炭入り紙パックも採用された。ゴミを長期間ためる自動収集ステーションでは、ゴミそのものだけでなく、内部にこもるニオイへの対処も重要になる。清掃性能だけでなく、ステーションを室内に置き続けることを前提とした快適性まで設計対象に含めたことがわかる。

一方で、AutoWash充電ステーションのサイズは幅42.5cm、奥行45.0cm、高さ43.2cmとなる。ロボット掃除機を住宅へ導入する際は、本体の走行経路だけでなく、ステーションをどこに置くかという設計も欠かせない。

ラグジュアリー住宅では、ロボット掃除機を生活空間の中央に露出させず、洗面室やユーティリティ、収納家具の一部など、目立ちにくい位置へ収める計画も検討したい。住宅設計の段階から、電源、給水タンクの補充や汚水タンクの排水に必要な作業空間、ロボットが出入りするための開口、メンテナンススペースまで考えておくことが理想となる。

「Roomba Max 715 Vac」は水拭きを省いた吸引特化型

Roomba Max 715 VacとAutoEmpty充電ステーション
水拭き機能を搭載せず、吸引清掃に特化した「Roomba Max 715 Vac ロボット+AutoEmpty充電ステーション」

もうひとつの新製品「Roomba Max 715 Vac ロボット+AutoEmpty充電ステーション」は、水拭き機能を搭載せず、吸引清掃に特化したモデル。

高機能化が進むロボット掃除機では、吸引と水拭きを1台にまとめた複合モデルが上位機種の中心になっている。しかし、すべての住宅で水拭き機能が必要とは限らない。

ラグやカーペットを多用する空間、水拭きを積極的に行いたくない床材、あるいは掃除機がけの性能を最優先したい住環境では、吸引特化型のほうが合理的な場合もある。

715 Vacは、775 Comboと同じく、Roomba 105 Comboとの比較で最大4倍の吸引力を備え、2本のゴム製ブラシと1本のエッジクリーニングブラシによる3段階クリーニングシステムを搭載する。毛が絡まりにくい構造のため、長い髪の毛やペットの毛が多い住環境にも適しているとされる。

カーペットのゴミを吸引するRoomba Max 715 Vacのクリーニングシステム
2本のゴム製ブラシとエッジクリーニングブラシを組み合わせ、カーペットやラグに入り込んだゴミを吸引する「Roomba Max 715 Vac」。画像は吸引機能を可視化したイメージ

付属するAutoEmpty充電ステーションは、最大90日分のゴミを自動収集する一方、幅21.3cm、奥行17.2cm、高さ29.0cmという比較的コンパクトな設計だ。水拭き関連の機構を省くことで、設置性と価格のバランスを取ったモデルといえる。

Roomba Max 715 Vacとゴミを自動収集するAutoEmpty充電ステーション
コンパクトなAutoEmpty充電ステーションへゴミを自動収集する「Roomba Max 715 Vac」。活性炭入り紙パックを採用し、ゴミ収集時に発生しやすいニオイにも配慮する。画像は機能を可視化したイメージ

「すべての機能を搭載すること」が、必ずしも上位モデルの唯一の答えではない。住まいの床材や暮らし方に応じて、必要な機能だけを高い水準で提供するという考え方が、このモデルには表れている。

ClearView Pro LiDARとAIで障害物を認識・回避

両モデルは、高性能センサー「ClearView Pro LiDAR」と「PrecisionVision AIテクノロジー」を組み合わせたナビゲーションシステムを採用する。

LiDARが室内の形状や家具の配置を把握し、PrecisionVision AIが、床上のコードや靴、犬または猫の固形の排せつ物などを認識して回避する。空間全体を測距するセンサーと、個々の物体を識別する画像認識技術を組み合わせることで、清掃経路の精度と障害物回避の両立を図った。

犬やロープのおもちゃを認識して回避するRoomba Maxのイメージ
PrecisionVision AIテクノロジーが、床上のコードや靴、ペットの排せつ物などを認識・回避する。画像は障害物認識を可視化したイメージ

間取りや家具を立体的に表示する3Dマップにも対応する。ロボットがどの空間を認識し、どこを清掃したのかをアプリ上で確認できるため、清掃の自動化だけでなく「可視化」も進化している。

室内をマッピングして清掃経路を設定するRoomba Maxのイメージ
ClearView Pro LiDARが室内の間取りをマッピングし、家具の配置を踏まえて効率的な清掃経路を生成する。画像は空間認識と走行経路を可視化したイメージ

ただし、コードや小物を避けられるからといって、床に物を置いたままでよいわけではない。ロボット掃除機の性能を引き出すには、床面を整理し、段差や家具配置を含めてロボットが走行しやすい環境を整えることが重要だ。

ロボット掃除機に適した住宅とは、最新機種を購入した住宅ではなく、ロボットが働きやすいように設計された住宅でもある。

「1台ですべて」から、床材に合わせて選ぶ時代へ

Roomba Max 775 Comboの公式オンラインストア価格は19万9,800円、Roomba Max 715 Vacは9万9,800円。両モデルとも2026年7月17日に発売された。775 Comboには月額8,980円のレンタルプランも用意される。

また、両モデルは日本独自の「ルンバ プレミアム特典」の対象となる。メーカー保証を3年間に延長し、専用サポートダイヤルや交換用アクセサリーを提供するもので、長期使用を前提とした支援体制も強化された。

今回の2機種が示しているのは、ロボット掃除機の選び方が「最も多機能な1台を選ぶこと」から、「住まいの床材や生活習慣に合った1台を選ぶこと」へ移りつつあるという事実だ。

水拭きに対応した硬質床材を中心とする空間では775 Combo、ラグやカーペットが多く、吸引性能と設置性を優先する空間では715 Vacというように、床の構成によって最適解は異なる。

ロボット掃除機は、もはや後から住宅へ持ち込む単独の家電ではなく、床材、家具、収納、電源、ネットワークとともに計画する、住環境の一部になり始めている。

吸引力、水拭き、AI認識、自動メンテナンスという個別の機能以上に重要なのは、住宅とロボットをどのように組み合わせるかである。新しいRoomba Maxシリーズは、その選択肢が「全部入り」と「吸引特化」という二方向へ広がったことを示す製品といえる。

製品概要

Roomba Max 775 Combo ロボット+AutoWash 充電ステーション

  • 価格:19万9,800円(税込)
  • 月額レンタル:8,980円(税込)
  • 主な機能:吸引、水拭き、モップ温水洗浄、温風乾燥、洗剤自動投入、自動ゴミ収集

Roomba Max 715 Vac ロボット+AutoEmpty 充電ステーション

  • 価格:9万9,800円(税込)
  • 主な機能:吸引清掃、障害物認識・回避、自動ゴミ収集

公式サイト

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