ユニオンテックとHOMMAが業務提携へ。高級住宅に建築統合型スマートホームを提案
取材/LWL online編集部
空間デザイン・設計施工を手がけるユニオンテックと、シリコンバレー発のスマートホーム企業HOMMA Groupが業務提携した。両社は、新築の高級住宅や大型フルリノベーションを中心に、空間デザインとスマートホーム技術を一体化した共同提案を開始する。
今回の提携が示すのは、スマートホームが完成後に機器を追加する「便利なオプション」から、住宅の設計段階で組み込むインフラへと移り始めていることだ。HOMMAが掲げる「Built-in Intelligence」とユニオンテックの設計デザイン力は、日本の高級住宅にどのような新しい標準をもたらすのか。
高級住宅の設計・施工とスマートホームを一体化
ユニオンテック株式会社とHOMMA Group株式会社は2026年7月27日、ラグジュアリー住宅領域における新たな住空間価値の創出を目的として業務提携し、共同提案を開始したと発表した。
提携によって組み合わされるのは、ユニオンテックが持つ空間デザイン、設計、施工の知見と、HOMMAが開発してきたスマートホームテクノロジーである。
両社は、新築高級住宅や大型フルリノベーションを中心に、都心部の高級マンション、別荘、セカンドハウス、企業の保養所なども対象として、スマートホームを取り入れた住空間を提案する。ユニオンテックが持つ富裕層顧客との接点や設計施工能力と、HOMMAの技術を組み合わせ、初期相談から設計、実装までを見据えた連携体制を構築するという。
ユニオンテックは、オフィス、商空間、レジデンスなどの企画・デザインから設計、施工までを手がける総合空間企業である。住宅分野では、個人富裕層を対象とした「Luxury residence」事業を展開し、素材や造作、家具まで含めた空間全体の提案力を強みとしている。

シリコンバレー発、建築統合型スマートホームの典型
一方のHOMMAは、2016年に米国シリコンバレーで創業したスマートホーム企業だ。創業者の本間毅氏は、ソニーや楽天でデジタル分野の事業開発に携わった後、シリコンバレーのエンジニアリングと日本的な空間設計の精度を融合させ、建築をテクノロジーによって再構築する取り組みを始めた。
HOMMAがIoTガジェット型のスマートホームと異なるのは、その出発点がデバイスではなく「建築そのもの」にあることだ。完成した住宅へスマート機器を追加するのではなく、建築、ソフトウェア開発、UXデザインを一体で進め、「家そのものをプログラムする」というアプローチを採ってきた。
米国では、カリフォルニアやオレゴン州ポートランドなどで戸建住宅や集合住宅のプロジェクトを展開し、実際の住宅を通じて自動化と運用のノウハウを積み重ねてきた。2025年12月には東京拠点を開設し、日本の住宅市場に向けた展開も本格化している。
LWL onlineでは、HOMMAを後付けのIoTガジェットとは異なる「建築統合型スマートホーム」の典型として紹介してきた。その思想と実装については、「テクノロジーが“住まい”を再定義する~HOMMAが描く、ラグジュアリー・スマートホームの未来」で詳しくレポートしている。
こうしたHOMMAのアプローチは、LWL onlineが提唱してきた「Home OS」、すなわち照明、空調、遮光、セキュリティなどを住宅全体で統合する考え方と重なる。単に複数の機器をつなぐのではなく、建築と設備を含む住まい全体を一つのシステムとして設計する点に、その本質がある。
住宅に知性を組み込む「Built-in Intelligence」
HOMMAが掲げる中核的なコンセプトが「Built-in Intelligence(ビルトイン・インテリジェンス)」である。
IoTガジェット型スマートホームでは、スマートフォンのアプリや音声アシスタントを使って照明や家電を操作することが多い。一方、HOMMAは照明、シェード、空調、セキュリティ、各種センサーなどを住宅の設計段階から組み込み、住む人の行動や時間帯に応じて、住環境が自然に変化することを目指している。
人の動きをセンサーで検知して照明を制御するハンズフリーのオートメーションや、自然光のリズムに合わせて明るさと色温度を調整するサーカディアンライティング、外出先からの遠隔操作、センサーを利用した見守りなどが、その代表的な機能である。
重要なのは、高度なテクノロジーを前面に出すのではなく、ごく自然に暮らしへ溶け込ませることだ。操作のたびにスマートフォンを開いたり、音声アシスタントへ指示したりするのではなく、住む人が意識しないところで住宅が快適性を支える。HOMMAは、子どもから高齢者まで、特別な知識がなくても利用できる住宅体験を目指している。
いわば住宅そのものに「知性」を埋め込む考え方だ。

高級住宅ほど、テクノロジーを見せない
高級住宅では、照明、空調、電動シェード、セキュリティなど、導入される設備の種類が増える。それぞれを個別に操作しようとすれば、壁面には多数のスイッチやリモコンが並び、スマートフォンにも複数のアプリが必要になる。
設備が増えるほど、住宅が必ずしも快適になるわけではない。個別の機器が高性能であっても、操作方法や制御の考え方が統一されていなければ、住まい手にとっては複雑な住宅になってしまうからだ。
また、完成後にスマートホーム機器を追加する方法では、センサーや通信機器が室内に露出したり、壁面の意匠を損なったりすることがある。照明や空調の制御に必要な配線、電源、ネットワーク、設置場所が十分に確保できない場合もある。
だからこそ、スマートホームは建築やインテリアの設計が終わった後に検討するのではなく、基本設計や実施設計の段階から組み込む必要がある。
どの場所にセンサーを配置して、照明やシェードをどのような単位で制御するのかなどの判断は、建築、インテリア、設備、テクノロジーを同時に計画することで初めて可能になる。
今回の提携では、HOMMAのテクノロジーを単独で導入するのではなく、ユニオンテックの設計施工チームが空間デザインの中に自然に組み込む。両社は、上質な意匠を維持しながら、快適性、利便性、安全性を備えた居住体験の実現を目指すとしている。
スマートホームの価値は「操作」から「体験」へ
これまで、スマートホームの価値は、「スマートフォンで照明を消せる」「声でエアコンを操作できる」といった機能によって説明されることが多かった。しかし、ラグジュアリー邸宅に求められるのは次のようなものだろう。
帰宅すると、移動する先の明かりが自然に点灯する。夕方から夜にかけて、照明の色と明るさが穏やかに変化する。帰宅前に空調を整え、不在時にはセンサーが住宅を見守る。そこでは、一つひとつの機器を個別に操作するよりも、住宅で過ごす時間全体の質、すなわち体験価値が重視される。
HOMMAは、玄関を開けた瞬間から、廊下や階段を移動する時間、家族と過ごす時間、就寝から目覚めまでを、一つの連続した住宅体験として捉えている。「Built-in Intelligence」は、住宅で過ごすあらゆる時間の質を高め、それによって暮らし全体の質を高めようとする思想である。
これは、LWL onlineがこれまで取り上げてきた「Invisible Wellness」、あるいは「Invisible Technology」の考え方とも重なる。
健康や快適性のための設備を目立たせるのではなく、照明、空調、音、空気、温熱環境などを建築の中へ自然に溶け込ませる。住む人が操作を意識しなくても、住宅が日々のコンディションを支えることが、これからのラグジュアリー住宅における重要な体験価値になっていくだろう。
完成後もアップデートされる「進化する住宅」
今回の発表では、将来的なアップデート性も、ラグジュアリー邸宅に求められる要素として挙げられている。
住宅の構造や内装は数十年使われる一方、デジタル技術やソフトウェアは短い周期で更新される。スマートホームを住宅のインフラとして導入するのであれば、完成時の機能だけでなく、保守、ソフトウェア更新、機器交換、将来的な拡張をどのように担保するかも重要になってくる。
HOMMAは、入居後もシステムのメンテナンスやソフトウェアアップデートを行い、新機能の追加や使い勝手の改善を進める仕組みを掲げている。建築の長いライフサイクルと、テクノロジーの短い更新周期をどのように両立するかは、建築統合型スマートホームを評価するうえで欠かせない視点なのだ。
高級住宅の新たな標準となるか?
今回の業務提携だけで、日本のラグジュアリー邸宅にスマートホームが直ちに標準装備されるわけではない。しかし、空間デザインと施工を担う企業が、スマートホーム事業者と設計段階から協業し、ラグジュアリー住宅へ共同提案する意味は大きい。
これまでの日本では、スマートホームが住宅設備ではなく、家電やIoT機器の延長として扱われることも多かった。その結果、住宅の設計者、設備設計者、インテリアデザイナー、システムインテグレーターが十分に連携しないまま、個別の機器だけが導入されるケースもあった。
今回の提携が目指しているのは、その逆である。
先に建築と暮らしの体験を設計し、そこへ必要なテクノロジーを統合する。スマートホームを主役にするのではなく、住まい手が求める空間や時間を実現するための、目に見えない住宅インフラとして位置づける。
HOMMA代表の本間毅氏は、今回の提携を「日本の高級住宅における新たな標準づくりの第一歩」と位置づけている。
ラグジュアリー邸宅の価値が、素材や広さ、設備の数だけで測られる時代から、建築、インテリア、設備、テクノロジーがどれだけ統合されているかで評価される時代へ。いま、時代は移り変わりつつある。
ユニオンテックとHOMMAの提携は、建築統合型スマートホームが、日本のラグジュアリー住宅市場でも本格的に動き始めたことを示す一つの象徴といえそうだ。
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会社概要
ユニオンテック株式会社
- 代表者:代表取締役社長 大川祐介
- 所在地:東京都渋谷区道玄坂2-25-12 道玄坂通 4階
- 創業:2000年6月
- 公式サイト:https://www.union-tec.jp/

HOMMA Group株式会社
- 代表者:代表取締役 本間毅
- 日本拠点:東京都渋谷区西原3丁目1-10 (tefu) yoyogi uehara
- 創業:2016年(米国シリコンバレー)
- 公式サイト:https://www.hommagroup.com/

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取材
LWL online 編集部