ロルフベンツ新作ソファ「ELVA」販売開始。コンパクトな佇まいが生む、ラグジュアリー住宅の「余白」

 取材/LWL online編集部

ドイツの高級家具ブランド「ROLF BENZ(ロルフベンツ)」の新作ソファ「ELVA(エルヴァ)」が、東京・神宮前のROLF BENZ TOKYOで販売を開始した。奥行きを抑えたコンパクトな設計と、軽やかで有機的なフォルムが特徴だ。1964年の創業以来ロルフベンツが培ってきた思想をたどりながら、ELVAが現代のラグジュアリー住宅にもたらす「余白」と、リビングテックとの接点を考える。

ロルフベンツ「ELVA」とは? 小さな空間にもエレガンスを

ELVAは、Silja BeckとNorbert Beckによるドイツのデザインスタジオ「Beck Design」がデザインを担った。名称は、アイスランド語で「エルフ」を意味する「Álfur」に由来するとのこと。アイスランドの伝承に登場するエルフは、自然の中に暮らす神秘的な存在とされている。

直線的な端正さと有機的な柔らかさを両立したフォルムが特徴である。座面から背もたれ、アームへと続く丸みのあるラインを装飾ステッチで引き締め、細身のメタルレッグを組み合わせることで、ボリュームを感じさせすぎない軽やかな外観に仕上げている。

ロルフベンツ「ELVA」のボルドーカラーのソファ正面
丸みを帯びた座面と背・アームを、装飾ステッチによって端正に引き締めたELVA

ロルフベンツはELVAを「Great elegance for small spaces(小さな空間に、大きなエレガンスを)」という言葉で表現している。

ラインアップには、1人掛け、2人掛け、シェーズロング、カウチソファなどがあり、空間やライフスタイルに応じて構成できる。2人掛けモデルは幅1920×奥行870mm。大型ラウンジソファと比較すると奥行きを抑えつつ、追加の背クッションを必要としない快適な座り心地となっている。

内部には木製フレームやコイルスプリング、高品質なコールドフォームなどを採用。外観は軽やかだが、その内側にはアップホルスター家具を長年手掛けてきたロルフベンツならではの構造が組み込まれている。

ロルフベンツ「ELVA」のソファとシェーズロングのバリエーション
ELVAはソファ、シェーズロングなどを展開し、住空間やライフスタイルに応じた構成を可能にする
ロルフベンツ「ELVA」のブルーの1人掛けソファ
ELVAの1人掛けモデル。背もたれからアームへ連続する柔らかな曲線と、ステッチによる輪郭が印象的

1964年から続くロルフベンツの「暮らし方をデザインする」思想

ELVAを理解するうえで知っておきたいのが、ロルフベンツが創業以来培ってきた家具づくりの思想である。

ブランドは1964年、ドイツ南西部のナーゴルトで誕生した。

創業初期を象徴する製品が、モジュラーソファ「Addiform」。当時一般的だった、ソファとアームチェアを固定的に配置するのに対して、Addiformは複数のエレメントを自由に組み合わせ、住む人自身が空間に合わせて柔軟に構成できるという新しい考え方を提示したのである。

ここからも、ロルフベンツの根底には、家具の提案を通じて、空間の在り方そのものを提供するという姿勢が見てとれる。

現在ではソファだけでなく、チェア、テーブル、収納家具、ベッド、アウトドア家具などまでラインナップを拡大。単体の家具ではなく、住空間全体を構成するブランドへと発展している。

ラグジュアリー住宅だからこそ、ソファを大きくしすぎない

LWL onlineの視点からELVAを見ると、とりわけ注目したいのが「座面の奥行きを抑えたコンパクトサイズ」である。

ラグジュアリー住宅というと、広々とした空間に大型のコーナーソファを配置する姿を思い浮かべがちだ。もちろん、そのような空間は多い。ただし、家具そのものを大きくすることが必ずしも豊かさにつながるとは限らない。

たとえば都市部の高級レジデンスでは、大きな窓から広がる眺望そのものがインテリアの一部になる。別荘では森や海、庭といった外部環境を室内へ取り込むことが、建築設計の中心となることもある。アートを飾る住宅であれば、作品との距離感も重要だろう。

このような空間では、ELVAのように奥行きを抑え、細い脚によって床面を見せ、背面まで端正に仕上げたソファは、相性がいい。建築の余白を残しながら、人が過ごす場所だけをつくることが可能なのである。

その意味で、現代のラグジュアリー住宅におけるひとつの家具のあり方として捉えることができる。

ロルフベンツ「ELVA」のブラウンのシェーズロング
座面を伸ばしながらも、細身の脚によって床面の抜けをつくるELVAのシェーズロング

ラグジュアリーとは「足すこと」から「整えること」へ。リビングテックとの接点

LWLが考えるラグジュアリーな住空間は、高価な家具や設備を次々と追加するものではない。それぞれの要素が主張し合うのではなく、住む人を中心に空間全体が調和していることだ。

その考え方は、リビングテックにも当てはまる。

照明、シェード、空調、音響、スマートホームといったテクノロジーの役割は、機器そのものの存在を感じさせることではない。光や空気、音響などの環境を住む人に合わせて整え、快適な状態を自然につくり出すことが目的だ。スイッチや操作機器、設備をできるだけ建築の中へ溶け込ませる「Invisible Technology」も、そのためのひとつの手法である。

リビングテックが高度になればなるほど、テクノロジーそのものは空間の前面から退いていく。その先に残るのが、人が実際に見て、触れて、身体を預ける家具や素材、窓の外の景色、光や音によって構成される空間そのものだ。

自然に心地よい光環境や空気に包みこまれ、心地よい音楽を体感し、身体を預けたソファから美しい景色を眺められる。こうした体験の総体こそが、リビングテックによって実現されるべき豊かさなのだ。

ELVA自体はスマートホームに直接関係はしていないが、「ラグジュアリー×ウェルネス×リビングテック」というLWLのテーマと決して無関係ではない。むしろELVAは、テクノロジーによって整えられた住環境と、人間の身体とを接続する存在と言っていい。

身体を直接受け止める座り心地や建築の広がりを損なわないプロポーション。あるいは、床面や視線の抜けを残す軽やかな佇まい。そして、家具としての存在感を持ちつつも、アートや照明、窓の外の景色を楽しめることも、空間全体の快適性を考えるうえでは重要になる。

創業から60年以上にわたり、ロルフベンツが考えてきたのも、「どんなソファをつくるか」だけではなく、「そこで人はどう過ごすのか」ということだった。

その思想は、機器ではなく体験価値から住空間を考える、LWLが掲げるリビングテック、あるいはInvisible Technologyの思想と重なって見える。

豪華さを足し続けるのではなく、テクノロジー、家具、照明、素材、建築をそれぞれ適切な位置に置き、人が心地よく過ごせる環境として整えていくこと。

新作ソファELVAは、そんな現代のラグジュアリー住宅に求められる価値観を、インテリア側から提示する一脚だと言えそうだ。

ROLF BENZ ELVA 製品概要

  • Design:Beck Design
  • 1人掛けソファ
  • W790×D760×H720mm/SH420mm
  • 576,840円(税込)~
  • 2人掛けソファ
  • W1920×D870×H740mm/SH420mm
  • 925,110円(税込)~
  • シェーズロング
  • W1730×D870×H740mm/SH420mm
  • 805,124円(税込)~
  • カウチソファ
  • W2580×D2150×H740mm/SH420mm
  • 1,792,650円(税込)~
  • ※価格・仕様は2026年8月21日発表時点。

ROLF BENZ TOKYO(ロルフベンツ東京)

  • 住所:〒150-0001東京都渋谷区神宮前3-30-12 VORT神宮前三丁目 1F
  • 電話番号:03-5843-0900
  • 定休日:水曜日(祝日を除く)
  • 営業時間:11:00~19:00
  • アクセス
  • 東京メトロ銀座線「外苑前駅」徒歩約10分
  • 東京メトロ副都心線・千代田線「明治神宮前駅」徒歩約10分
  • 東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道駅」徒歩約15分
  • 公式サイト:https://www.rolf-benz-tokyo.jp
東京・神宮前のROLF BENZ TOKYO外観
ELVAの販売を開始した東京・神宮前の「ROLF BENZ TOKYO」
  • 取材

    LWL online 編集部

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