「家事がなくなる家」を実現へ。MWがフィジカルAI住宅「MW Living Home」を初公開、住宅ロボットも披露
取材/LWL online編集部
建築とAI、ロボティクスを一体化し、住宅そのものが知覚し、判断し、行動する。株式会社MWは9月10日、次世代住宅「MW Living Home」の全体像を初公開した。「家事がなくなる家」を掲げ、AI「MW Intelligence」と住宅ロボット「MW bot」を建築段階から統合する。さらに、住宅環境に特化したロボット基盤モデルの研究開発が、経済産業省・NEDOの「GENIAC」に採択されたことも発表。スマートホームの先にある、フィジカルAIを実装した住宅が具体的な形を見せ始めている。
建築・AI・ロボットを一体化する「MW Living Home」
MWは2026年9月10日、東京・豊洲のCITABRIA BAYPARKで、報道関係者向けブランド発表会「MW “Living Home” Launch」を開催。同社が開発を進める「MW Living Home」の全体像が初公開された。
MW Living Homeが掲げるコンセプトは、シンプルかつ大胆な「家事がなくなる家」。
建築・ソフトウェア・ロボティクスを最初からひとつの住宅システムとして設計するという発想がベースにある。

同社は人間が持つ「知覚」「知性」「身体」になぞらえて説明している。
住宅内の環境を把握するセンサー群が「知覚」、住宅の状況を理解・判断し、学習を続けるAI「MW Intelligence」が「知性」、そして実際に家事などの物理的な作業を行う住宅ロボット「MW bot」が「身体」を担う。
この三者を建築意匠と一体化することで、住宅そのものが周囲の状況を認識し、自律的に判断し、物理空間へ働きかける住環境を目指す。
「スマートホーム」のさらに先へ。住宅そのものが知覚・判断・行動する
MWは、現在「スマートホーム」と呼ばれている住宅の多くについて、IoTによる家電の遠隔操作にとどまり、操作そのものは人の手を前提としていると捉えている。
これに対してMWが目指しているのは、人が機器を操作することを前提とした住宅ではない。
住宅側が居住者や周辺環境を認識し、AIがその状況を判断し、さらにロボットが現実空間で行動する。いわば、デジタル世界のAIを住宅というフィジカルな空間へと拡張する試みとも捉えられる。
発表会では、これまで写真や短い動画などで公開されていた住宅ロボット「MW bot」のプロトタイプも、実際の開発・実験に用いているトレーラーハウス環境とともに展示。家事タスクを実行する様子がライブデモで披露された。
同社によれば、人型ロボットをそのまま一般住宅に持ち込むのではなく、日本の比較的コンパクトな住宅環境を前提として、住宅・ソフトウェア・ロボットを三位一体で開発する点がMWの特徴になるという。

住宅ロボット基盤モデルが「GENIAC」に採択
MWが開発する「住宅環境に特化したロボット基盤モデル」は、経済産業省およびNEDOによる生成AI開発プロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」に採択された。採択日は9月9日。
MWでは今後、次世代MW botの躯体開発や量産体制の構築、大規模なデータ収集体制「Data Factory」の強化、ロボット基盤モデルの開発、自社施工する実住宅でのAIロボット稼働実証などを進めるとしている。

実際の住宅から得られる行動・環境データをAIの学習基盤へ戻し、住宅そのものを継続的に進化させていくという開発サイクルの確立を目指しているという。
製造・物流などの産業用途を中心に開発が進んできたフィジカルAIを、「住まい」へ持ち込もうとする試みでもあり、住宅とロボティクスの関係を考えるうえでも注目したい。
東京、横浜、軽井沢などで住宅プロジェクトも進行
MWは東京都内の複数エリアをはじめ、神奈川県・横浜、福岡県・中央、長野県・軽井沢、千葉県・富津などで現在開発を進めている建築プロダクトや、今後展開するモデルラインアップについても明らかにした。

MW Living Homeは、未来のコンセプトモデルだけを提示するものではなく、実際の住宅そのものを開発・提供しながら、AIとロボティクスを実装しようとしている。
スマートホームがこれまで主に「住宅設備をどうつなぐか」を追求してきたとすれば、その先では「住宅が何を理解し、何を自律的に実行するのか」が問われることになる。
Connected HomeからAIレジデンスへ、そしてロボットと住宅が一体化した住環境へ。
MW Living Homeが掲げる「家事がなくなる家」はまだ開発途上にある。しかし、AIが物理空間そのものを動かすフィジカルAI時代の住宅が、いよいよ具体的な開発フェーズに入り始めたことを示す動きとして、今後も注目していきたい。
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