川島織物セルコン「織の地層」が国内初披露。石や土の質感を「織る」テキスタイルを大阪・東京で展示

 取材/LWL online編集部

川島織物セルコンが、ミラノデザインウィーク2026で発表したインスタレーション「織の地層 - Woven Strata -」を国内初披露する。11月に大阪・東京を巡回し、石や鉱物、土壁の質感を織物で再構成した作品と、ホテルや住宅、商業空間への展開を想定した製品化プロトタイプを展示。テキスタイルを「仕上げ」から「空間をつくる素材」へと拡張する試みだ。

※アイキャッチ画像:Photo by Sohei Oya (Nacasa & Partners)

1843年から積み重ねてきた「技術の地層」

「織の地層 - Woven Strata -」は、自然界で長い時間をかけて形成される「地層」と、1843年の創業以来、川島織物セルコンが蓄積してきた織物技術を重ね合わせることをコンセプトとしたプロジェクトである。

ミラノデザインウィーク2026で展示された川島織物セルコン「織の地層」の会場風景
ミラノデザインウィーク2026で発表された「織の地層 - Woven Strata -」。織物作品と光、建築空間を一体として構成した。Photo by Sohei Oya (Nacasa & Partners)

地層の断面に現れる凹凸や粒感、光の角度によって変化する鉱物のきらめき、乾いた土壁のざらつきやひび割れ。自然界の「堆積」が生み出す多様な質感を、糸、織組織、素材、密度といった「織ること」そのものによって再構成している。

同社はミラノデザインウィーク2026への出展時、近年の建築・インテリアにおいて、自然素材の質感を柔軟に空間へ取り込みたいというニーズを背景のひとつとして説明していた。

綴織、螺鈿、ジャカード。異なる技法と素材で「自然」を翻訳する

作品ごとに使われている技法も大きく異なる。

「Strata_2」では、緯糸を手作業で織り込む綴織に、袋状に織り上げる風通織の技法や、経糸に糸束を結びつけるノッティングを組み合わせ、石が砂へと還っていくような地層の変化を表現。かつて海底だった地層の記憶を想起させるため、貝殻を模した素材も織り込んだ。

川島織物セルコン「Strata_2」地層の質感を表現した綴織作品
「Strata_2」。綴織、風通織、ノッティングなどを組み合わせ、石が砂へと還るような地層の変化を表現している。Photo by Sohei Oya (Nacasa & Partners)

「Onyx_2」では、金銀や漆などで装飾した和紙を糸状に裁断し、緯糸として織り込む西陣織にも用いられる「引箔」を採用。漆や螺鈿、金彩を用いて、ブルーオニキスが持つ透明感や複雑な色の重なりを表現する。

川島織物セルコン「Onyx_2」ブルーオニキスを表現した織物
「Onyx_2」。引箔や螺鈿、金彩を用い、ブルーオニキスが持つ透明感と複雑な色の重なりを織物で表現した。Photo by Sohei Oya (Nacasa & Partners)

「Soil_1」「Soil_2」ではジャカード織によって乾いた土壁の凹凸や亀裂を再現。収縮糸や紙糸などを使い、視覚だけでなく、ざらりとした手触りまで追求した。さらに「Strata_4」では、マシンタフトとクロムジェットプリントを組み合わせて地層の奥行きを生み出している。

川島織物セルコン「Soil_1」「Soil_2」土壁のひび割れと質感を表現したジャカード織
「Soil_1」「Soil_2」。ジャカード織や収縮糸、紙糸などを用い、乾いた土壁のひび割れやざらつきを表現している。Photo by Sohei Oya (Nacasa & Partners)
川島織物セルコン「Strata_4」地層を表現した立体的なファブリック
「Strata_4」。マシンタフトとクロムジェットプリントを組み合わせ、地層の奥行きや土のざらつきを立体的なファブリックとして表現した。Photo by Sohei Oya (Nacasa & Partners)

テキスタイルは「仕上げ材」から「空間素材」へ

国内特別展ではミラノで発表された作品とともに、パーティションや椅子張り地など、ホテル、住宅、商業空間への活用を想定した製品化プロトタイプも展示される予定だ。

意匠表現にとどまらず、新作織物がどのように空間づくりに活用できるかを体感することができる。

織物もまた、設計の初期段階から、光、家具、壁面、動線と一体で考えるべき「空間素材」として捉えていく必要があるだろう。

ミラノ会場では、アートディレクションを担当した照明デザイナー・岡安泉氏による照明演出によって、光の当たり方や見る距離に応じてテキスタイルの表情が変化する空間が構成された。織物は素材単体では完結しない。光が当たり、人が動き、触れることで、初めて空間のなかでその存在感が立ち上がる。こうした視点は、テキスタイルを建築を構成する「空間素材」として捉え直す手がかりにもなる。

「織の地層」は、日本の伝統的な織物技術を紹介する展示であると同時に、これからの建築やインテリアにおいて、テキスタイルをどこまで「空間化」できるのかを問う展示ともいえそうだ。

大阪・東京で国内初披露。「織の地層」特別展の開催概要

大阪会場

  • 開催日:2026年11月10日(火)・11日(水)
  • 時間:10:00~17:00(最終受付16:00)
  • 会場:サンライズビル大阪 3F ホールA
  • 入場料:無料・予約不要

東京会場

  • 開催日:2026年11月25日(水)・26日(木)
  • 時間:10:00~17:00(最終受付16:00)
  • 会場:東京国際フォーラム 5F ホールB
  • 入場料:無料・予約不要

「織の地層 - Woven Strata -」公式サイト

川島織物セルコン公式サイト

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    LWL online 編集部

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