アクタス・新宿店が大規模リニューアル。41年目に掲げる「AUTHENTIC」
取材/LWL online編集部
アクタス・新宿店が2026年8月8日、大規模リニューアルオープンした。1985年の開業から41年、昨年の2階に続いて1階を刷新し、「WE WILL STAY AUTHENTIC」を掲げて新たなスタートを切る。家具だけでなく、アートや植物、作り手の物語まで横断しながら、「買う場所」から「暮らしを編集する場所」へ。オンラインで何でも選べる時代だからこそ、リアルな空間で「本物」に触れる意味を問い直す。
41年目のアクタス・新宿店が掲げる「AUTHENTIC=本物」とは
アクタス・新宿店がオープンしたのは1985年。当初は1日の来店客がわずか10人という日もあったという。それから41年を経て、現在はアクタスを代表する旗艦店へと成長した。
今回のリニューアルに際して、アクタスが改めて打ち出したのが「AUTHENTIC=本物」という考え方である。
家具やインテリアを手軽に購入できる選択肢は、この40年間で飛躍的に増えた。オンラインショップなら、価格やサイズ、色、レビューを瞬時に比較することもできる。ただし、家具は画面に表示されたスペックだけでは判断しきれない。木材の手触り、ファブリックの質感、椅子に身体を預けたときの感覚、家具がつくり出す空間のスケール感。そして、誰が、どのような思想と想いを込めてデザインしたのかという物語。
アクタスが今回改めて提示する「AUTHENTIC」とは、そうした情報だけでは伝わらない価値を含め、時間をかけて選ぶことの意味を問い直すものでもある。
長く愛されるデザインと、長く使い続けられる品質。それらを実際に体感しながら選ぶこと自体が、これからのインテリアショップに求められる役割なのかもしれない。
1階を大規模刷新。家具、アート、植物で「暮らし」を見せる
「北の住まい設計社」がキュレーションコーナー第1弾に
今回、大きく生まれ変わったのが1階フロアである。新たに設けられた「キュレーションコーナー」では、特定の商品を並べるだけではなく、イベントや展示を通じてさまざまな暮らしの価値観を編集し、発信していく。
その第一弾として展開されているのが、北海道・東川町を拠点とする「北の住まい設計社」の企画だ。

北の住まい設計社は1978年から家具づくりを続け、北海道産の木材を用いながら、一人の職人が一つの家具を最後まで仕上げるものづくりを行っている。新宿店では定番家具に加えて、「PASテーブル」の特別モデルや、「PASスツール」の限定仕様、北海道産の希少な一枚板を使用した「Natural Edge Table」なども用意されている。
大量生産、大量消費とは異なる時間軸で家具と向き合う同社の思想は、アクタスが今回掲げる「AUTHENTIC」というテーマとも重なる。
アートと植物まで含めて、暮らし全体をひとつの体験に
リニューアルされた1階は家具だけで構成されていない点にも注目したい。
写真家・安永ケンタウロス氏による写真展「水辺の肖像 – Waterside Portrait –」では、北海道・東川町をはじめ各地の水を捉えた作品を展示。北の住まい設計社の企画に合わせて撮り下ろされた作品も紹介され、家具の背景にある土地や自然まで含めた世界観を伝えている。
さらに、アーティストcoricciによる原画展「壁面に映る風景」も開催。
アクタスが展開するインテリアグリーンブランド「NODERIUM(ノードリウム)」では、沖縄から取り寄せた一点ものの植物なども紹介される。
家具、アート、植物をカテゴリーごとに分けるのではなく、それらが共存した状態で暮らしを見せる。


こうした展示は最近の上質な住宅づくりにも通じる考え方ともいえる。家具だけではなく、照明、アート、植物、素材、香りなどが重なり合い、そこに住む人自身の感性が加わることで、一つの生活空間が形づくられていく。
インテリアショップもまた、単品の商品を販売する場から、そうした「暮らし全体」を体験する場所へと変化しつつある。
2階には北欧の名作家具。アルネ・ヤコブセン「タンチェア」が約70年ぶりに復刻
2階では、イタリア、ドイツ、北欧を代表する家具ブランドを中心に、時代を超えて評価されてきた家具を展開する。

なかでも注目されるのが、デンマークデザインを代表するアルネ・ヤコブセンが1955年にデザインした「Tongue Chair(タンチェア)」だ。約70年の時を経てフリッツ・ハンセンから復刻され、世界で唯一、日本限定でACTUSにて発売される。
また、ハンス J. ウェグナーが1950年にデザインしたPPモブラーの「PP225 Flag Halyard Chair」も展示される。ステンレススチールのフレームとフラッグライン、シープスキンという異素材を組み合わせたウェグナーの代表的なラウンジチェアで、今回は本人が自邸で愛用していた仕様を再現した特別モデルを見ることができる。
さらに、1951年にデザインされた「PP19 Papa Bear Chair」も登場する。
ここにも、今回のリニューアルを象徴する「AUTHENTIC」が表れている。



「新しいもの」ではなく、「長く残るもの」を選ぶというラグジュアリー
オンラインで何でも購入できる時代に、あえてリアルな空間へ足を運び、家具に触れ、座り、作り手の思想について話を聞きながら、自分の暮らしに置くものを考える。効率とは逆方向にあるその「時間」そのものが、「AUTHENTIC」を象徴する。
41年目を迎えたアクタス・新宿店のリニューアルは、単なる店舗改装というより、インテリアショップがこれから担うべき役割を問い直す試みなのかもしれない。
家具を売る場所から、暮らしを考える場所へ。
「WE WILL STAY AUTHENTIC」という言葉には、変わり続ける時代の中で、あえて変えない価値を選択するアクタスの姿勢が込められている。
アクタス・新宿店
- 住所:〒160-0022 東京都新宿区新宿2-19-1 BYGS新宿ビル1・2F
- 営業時間:11:00~19:00
- 定休日:水曜日(祝日除く)
- アクセス:都営新宿線・東京メトロ丸ノ内線「新宿三丁目駅」C-8出口直結 / JR「新宿駅」東口より徒歩約10分
-
-
取材
LWL online 編集部