フランク・ロイド・ライトの名作照明「TALIESIN WHITE」発売。YAMAGIWAが新色を追加
取材/LWL online編集部
YAMAGIWAは、フランク・ロイド・ライトが設計した名作照明の復刻シリーズ「TALIESIN®」に、新色「TALIESIN® WHITE」が追加された。チェスナット材の木目を残した白い仕上げにより、積層する木製ブロックの彫刻的な輪郭と、柔らかな間接光が描く陰影がいっそう際立つ。
「TALIESIN®」は、ライトの有機的建築の思想を、光と素材によって室内に立ち上げるような照明である。新モデルの特徴とともに、フランク・ロイド・ライトの人物像、名称の由来となった自邸兼スタジオ「タリアセン」、1933年の劇場照明からYAMAGIWAによる復刻へ至る歩みをたどる。
新色「TALIESIN® WHITE」が生む、軽やかな光と影
「TALIESIN®」を特徴づけているのは、垂直に伸びる支柱と、その周囲にリズミカルに配置された箱状の木製ブロックである。
光源はブロックの内部に隠され、光は遮光板に反射しながら上下方向へ広がっていく。照明器具から直接光を放つのではなく、ブロックの面や周囲の壁、床、天井に光を受け止めさせ、陰影を空間に重ねていく構成だ。
YAMAGIWAのウェブサイトでは、自然の濾過された光にインスピレーションを得たデザインだと説明している。積層された木製ブロックは光源を覆い、柔らかな間接光と、光と影の静かな交錯を生み出す。
今回の「TALIESIN® WHITE」では、チェスナット材にホワイト塗装を施しつつ、木目の風合いを残している。消灯時には白い彫刻のように空間へ溶け込み、点灯すると、ブロックによって生まれた影が白い面に浮かび上がる。
従来のチェリーやウォルナット、オークといった木質色では、光と素材の温かさが一体となっていた。対してホワイトは、光と影の輪郭をより鮮明にし、シリーズがもともと備えていた幾何学的な構造を前面に押し出す。木製照明でありながら、白い壁や石材、左官、金属、ガラスを用いた現代的なインテリアにも取り入れやすい仕上げといえるだろう。

建築と自然を一体にした巨匠。フランク・ロイド・ライト
フランク・ロイド・ライトは、1867年に米国ウィスコンシン州で生まれた建築家である。
ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエと並び、近代建築を代表する巨匠のひとりとして知られ、住宅、ホテル、教会、美術館、オフィスなど、70年以上にわたって幅広い建築を構想した。
ライトの建築を貫いていたのが「有機的建築」と呼ばれる思想である。
建物を周囲の自然から切り離された人工物として扱うのではなく、土地の形状、光、風、素材、そこで営まれる生活と一体のものとして設計する。水平に伸びる屋根や深い軒、室内外を連続させる開放的な平面、土地に由来する素材の使用などは、その考え方を具体化したものだった。
2019年には、「落水荘」やニューヨークの「グッゲンハイム美術館」、ライト自身の住宅兼スタジオである「タリアセン」など8作品が、「フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群」としてユネスコ世界遺産に登録された。ユネスコは、内外の境界を曖昧にする空間構成や、素材と技術の新たな使い方、自然環境への応答を、ライトの有機的建築を示す重要な特徴として評価している。
日本との関係も深い。旧帝国ホテルや自由学園明日館などを設計し、日本の素材、工芸、空間文化からも影響を受けた。日本における近代建築の発展や、西洋建築の普及に寄与した建築家としても知られている。
「TALIESIN」とはなにか。丘の一部となる自邸兼スタジオ
「TALIESIN」という名称は、もともとフランク・ロイド・ライトが米国ウィスコンシン州スプリンググリーンに築いた、自邸兼スタジオの名前である。
ライトは1911年、幼少期から親しんだ土地に自らの住居と仕事場を建設した。建物は丘の頂上を占拠するのではなく、丘の稜線より少し下に沿うように配置されている。
「Taliesin」はウェールズ語で「輝く額」を意味する。ライトは、建物を「丘の上」に置くのではなく、丘の額、すなわち地形そのものの一部として存在させようとした。この名称には、建築を自然に従わせるライトの有機的建築の思想が端的に表れている。
タリアセンは完成後も繰り返し増改築され、二度の火災から再建された。ライトにとって、固定された完成品ではなく、自らの生活と建築思想を更新し続ける実験の場だったのである。後には若い建築家を育成する「タリアセン・フェローシップ」も設立され、建築だけでなく、農作業、音楽、美術、料理などを含めた共同生活を通して学ぶ教育の場となった。
1933年の劇場照明から生まれた「TALIESIN®」
YAMAGIWAが1994年に復刻
照明器具としての「TALIESIN®」の原型は1933年にさかのぼる。
ライトは、ウィスコンシン州にあるヒルサイド・ホーム・スクールの体育館を劇場へ改装する際、木製のボックスと遮光板を組み合わせたペンダント照明を設計した。
光源を直接見せるのではなく、木製ブロックによって光の方向を制御し、反射光によって空間を照らす。その造形は、その後さまざまな場所に合わせて応用され、現在の「TALIESIN®」シリーズへとつながっていった。
YAMAGIWAは、フランク・ロイド・ライト財団の監修・許諾のもと、残された図面や現地調査、厳正な試作検査を経て、1994年に復刻シリーズの販売を開始した。
「TALIESIN® 2」は初期に復刻されたモデルのひとつで、ライト自身もこのデザインを気に入り、自らの書斎で使用していたとされる。一方、「TALIESIN® 3」と「TALIESIN® 4」は、この造形と光の考え方を、日本の住宅にも取り入れやすいサイズへ展開したモデルである。


現在、シリーズにはチェリー、ウォルナット、ブラック、オークなどの仕上げに加え、現代のクリエイターとのコラボレーションによるオマージュモデルも用意されている。YAMAGIWAはフランク・ロイド・ライト財団の監修と許諾を受け、照明器具の復刻生産を行う公認ブランドとしてシリーズを展開している。

白によって浮かび上がる、ライトの建築思想
フランク・ロイド・ライトは、建築、家具、照明、装飾を別々の要素として扱わなかった。建物の構造から椅子やテーブル、窓、照明に至るまでを、一つの環境として構想した建築家である。
「TALIESIN®」もまた、部屋を明るくする照明器具にとどまらず、木製ブロックが光を遮り、反射させ、影をつくる。照明器具そのものだけでなく、周囲の壁や床を含めて一つの光景を形成する。その意味で「TALIESIN®」は、ライトの建築を縮小したオブジェであり、光と素材、空間の関係を組み立てる小さな建築ともいえる。
新たなホワイトモデルは、シリーズの歴史的な造形を保ちながら、その存在をより抽象的で現代的なものへと変えている。
木の色ではなく、光と影そのものを主役にする「TALIESIN® WHITE」。フランク・ロイド・ライトが構想した有機的建築の思想を、現代の住宅空間へ導入する新たな選択肢となりそうだ。
製品情報
TALIESIN® 2 WHITE
- 価格:418,000円(税込)
- サイズ:高さ2,038×幅408×奥行408mm
- 質量:16.0kg
- 素材・仕上げ:チェスナット塗装仕上げ
- 光源:E17 ミニクリプトンランプ・クリア25W×10
- フットスイッチ付き
TALIESIN® 3 WHITE
- 価格:158,400円(税込)
- サイズ:高さ752×幅210×奥行210mm
- 質量:3.0kg
- 素材・仕上げ:チェスナット塗装仕上げ
- 光源:E12 小丸電球Tタイプ・クリア10W×5
- 中間スイッチ付き
TALIESIN® 4 WHITE
- 価格:101,200円(税込)
- サイズ:高さ512×幅210×奥行210mm
- 質量:2.3kg
- 素材・仕上げ:チェスナット塗装仕上げ
- 光源:E12 小丸電球Tタイプ・クリア10W×3
- 中間スイッチ付き
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取材
LWL online 編集部