IXC、3daysofdesign 2026で新作「OZU」「AIR FRAME 3016 SOFT sofa」を披露
取材/LWL online編集部
株式会社カッシーナ・イクスシーが展開する家具ブランド「IXC」は、デンマーク・コペンハーゲンで開催された「3daysofdesign 2026」に出展。ARK JOURNALによる展示「DESIGN / DIALOGUE」において、ヴィコ・マジストレッティによる「OZU」と、デヴィッド・チッパーフィールドによる「AIR FRAME 3016 SOFT sofa」を披露した。構造、素材、余白が静かに呼応する展示空間から、新生IXCの現在地を読み解く。
3daysofdesign 2026で、新生IXCのコレクションを発表
LWL onlineでは先日、IXCの3daysofdesign初参加について紹介した。今回はその続報として、現地で披露された新作と、ARK JOURNALが手がけた展示空間の構成に注目したい。
3daysofdesignはコペンハーゲン市内を舞台に開催される北欧最大規模のデザインイベントのひとつ。ショールームやギャラリー、文化施設など、街全体を会場としながら、家具、照明、インテリア、アート、建築に関わるブランドやデザイナーが参加する国際的なプラットフォームである。
IXCが参加した「DESIGN / DIALOGUE」は、コペンハーゲンを拠点とする国際的デザインメディア、ARK JOURNALがキュレーションを手がける展示。単に新作を並べるのではなく、プロダクト同士、あるいは家具と空間のあいだに生まれる関係性を見せる、編集性の高い展示として構成された。
2025年にリブランディングを行ったIXCにとって、今回の3daysofdesign出展は、新たなブランド哲学を国際的な文脈で提示する機会でもあった。ヨーロッパの家具文化と日本の美意識をどのように接続し、現代の暮らしに向けてどのような家具の価値を提案するのか。その問いが、今回の展示全体を貫いている。

photo by fritzbuziek
構造と素材が静かに対話する展示空間
今回のIXCの展示空間では、プロダクトと空間が静かに呼応し合う関係性がテーマとされた。素材の質感、構造の明快さ、余白の取り方に意識を向けながら、各プロダクトの個性が際立つように配置されている。
全体は抑制されたトーンで統一され、明確なゾーニングと自然な動線によって、来場者が家具をさまざまな角度から体験できる構成となった。視覚的な演出を過度に加えるのではなく、家具そのものの佇まい、素材の表情、空間との距離感を丁寧に感じ取らせる展示である。
あわせて会場には、ガムフラテージによる「PLATO sofa」、倉俣史朗の「HAL2 chair」、安藤忠雄の「A-CHAIR」など、IXCの既存コレクションから代表的なプロダクトも展示された。新作と、すでにブランドの文脈を形づくってきたプロダクトが同じ空間に置かれることで、IXCが蓄積してきたデザインの射程も浮かび上がる。
ヴィコ・マジストレッティの構想を現代に蘇らせた「OZU」
なかでも注目したいのが、ヴィコ・マジストレッティによる新作「OZU」である。
OZUは、1980年代半ばに構想されたとされるデザインをもとに、IXCが保管してきたオリジナルドローイングから現代に蘇らせた一脚。背景には、マジストレッティとIXC創業者・武藤重遠との交流、そして日本映画、とりわけ小津安二郎への深い愛着にまつわるエピソードがあるという。
OZUは構造の明快さによって印象付けられる一脚である。カンチレバー構造のスチールフレームが、クッションのように柔らかく形づくられた座面と背もたれを支える。軽やかでありながら安定した佇まいは、構造体と身体を受け止める要素を明快に分けることで生まれている。
構造と張り要素を分離した構成には、この時期のマジストレッティに見られる構造主義的なアプローチが表れている。最小限の要素で快適性を導く姿勢は、ミニマルでありながら冷たくならない、IXCの現在のデザイン哲学とも響き合う。
今回の復刻ではモールドウレタンを採用。オリジナルの思想を尊重しつつ、現代の暮らしに求められる座り心地にも応えた。時を超えて受け継がれたデザインの物語と、日本ならではの丁寧なものづくりが交差することで、OZUは現代の住空間に静かに寄り添う存在として再解釈されている。
サイズはソファがW950×D770×H740mm、オットマンがW950×D730×H410mm。OZUは2026年秋頃の国内発売を予定している。


「AIR FRAME」に柔らかな座り心地をもたらす新作ソファ
もうひとつの新作が、建築家デヴィッド・チッパーフィールドがデザインした「AIR FRAME」シリーズの新モデル「AIR FRAME 3016 SOFT sofa」である。
AIR FRAMEは、強度と軽さを兼ね備えたアルミハニカムパネル構造と、エッジの効いたシャープなフォルムを特徴とするシリーズ。建築的な精度を感じさせるミニマルな構成により、IXCを代表するプロダクトのひとつとして展開されてきた。
今回発表されたAIR FRAME 3016 SOFT sofaでは、その端正なフレームに、より柔らかなシートクッションを組み合わせた。構造の精緻さと、身体を受け止める柔らかさ。その対比によって、従来のAIR FRAMEが持つ軽快でモダンな印象を保ちながら、よりリラックスした居住性を備えたソファへと進化した。
本体にはアルミハニカムパネルを採用し、仕上げはアルマイト、ブラックアルマイト、ブラウンアルマイトを用意。サイズはW830×D710×H670mm、W1390×D710×H670mm、W1950×D710×H670mmの3タイプ。座面高はいずれもSH400mmとなる。
視覚的にはシャープでありながら、座る時間には穏やかな快適性をもたらす。建築的な美しさと暮らしの実感を結びつける一台として、住宅、ホテル、ラウンジなど、さまざまな空間での展開が期待される。


「Emotional Minimalism」をグローバルな文脈で提示
IXCはブランド哲学として「Emotional Minimalism(エモーショナル・ミニマリズム)」を掲げている。シンプルで自然体な心地よさに、心を揺さぶるディテールを織り込む。過度に装飾的ではなく、それでいて記憶に残る家具のあり方を目指す姿勢である。
IXCは2025年、創業50周年を機にリブランディングを実施。アートディレクターにデンマークのデザインユニット、GamFratesi(ガムフラテージ)を迎え、ブランドの世界観を刷新してきた。今回の3daysofdesign出展は、そうした新生IXCの現在地を国際的な文脈の中で示す機会となった。
ヨーロッパの家具文化と日本の美意識を響き合わせながら、素材、構造、余白、身体性をどのように家具へ落とし込むのか。新作OZUとAIR FRAME 3016 SOFT sofaは、その問いに対するひとつの回答といえる。

AIR FRAME 3016 SOFT sofaは6月25日より国内発表。OZUは秋頃発売予定
3daysofdesignで発表された新作のうち、「AIR FRAME 3016 SOFT sofa」は、2026年6月25日よりIXC直営各店で順次発表される。青山本店および福岡店では2026年6月25日(木)より、名古屋店および大阪店では2026年7月2日(木)より展開予定。
「OZU」は2026年秋頃の発売開始を予定している。
コペンハーゲンのデザインシーンで披露されたIXCの新作が、日本の住空間でどのように受け止められていくのか。家具を単なる道具ではなく、空間と時間の質を形づくる存在として捉えるうえでも、今後の展開に注目したい。
国内発表概要
- AIR FRAME 3016 SOFT sofa
- 青山本店・福岡店:2026年6月25日(木)〜
- 名古屋店・大阪店:2026年7月2日(木)〜
- OZU
- 2026年秋頃発売開始予定
ブランド概要
IXC(イクスシー)は「Emotional Minimalism(エモーショナル・ミニマリズム)」をデザイン哲学に掲げるグローバルブランド。シンプルで自然体な心地よさに、心を揺さぶるディテールを織り込んだ製品を通じて、飾らない上質を求める現代のライフスタイルに調和するインテリアを提案している。
ヨーロッパの家具文化と日本の美意識が響き合う独自のデザイン、素材の組み合わせが生む洗練、新技術やサステナブルなものづくりを追求し、永く大切にしたくなる家具を展開している。
-
-
取材
LWL online 編集部