第2回LWLサテライトイベント<前編> 7ブランドが提案する別荘とアウトドアリビングの新しい豊かさ
オーディオ&サブカルライター/杉浦 みな子
2026年7月9日、東京・南青山のIDEALビルで「LWLサテライトイベントVol.2」が開催された。テーマは「The Luxury Villa & Outdoor Living Experience」。“別荘建築・アウトドアリビング”のコンセプトを軸に、建築家やデザイナー、インテリアコーディネーター、デベロッパーなど60名を超えるプロフェッショナルが集う場となった。本記事ではそのレポート<前編>として、協賛企業7社のプレゼンテーション内容をレポートする。
なお、本イベントの大まかな概要は、掲載中の速報レポート記事をご参照いただきたい。
第2回LWLサテライトイベントが描く、別荘とウェルビーイングの未来
企業プレゼンテーションに先駆け、イベントの冒頭ではLWL主宰の渡我部一成氏の挨拶が行われた。

渡我部:「LWLは、自宅での生活をいかに快適で心豊かに過ごすかというライフスタイルコンセプトを掲げ、2010年より活動をスタートしました。
LWLはLiving Wellness in Luxury®の略ですが、私たちが掲げる“ラグジュアリー”とは、単に高価なものや物質的な豊かさを指す言葉ではありません。自分らしく心地よく過ごせる豊かな時間や空間、そして家族や仲間、大切な人と共有する時間や空間といった、生活における精神的な価値観そのものをラグジュアリーと定義しています。“心身ともに豊かさを体現できる住空間づくりを通じ、持続可能なウェルビーイング社会を実現する”というミッションを掲げています」

渡我部:「また、従来の『ウェルネス』と『ラグジュアリー』という2つの核に加え、現在は新たにスマートホームをはじめとする『リビングテック』をコンセプトに加えています。これは単に最新テクノロジーを推奨したいわけではなく、テクノロジーによって豊かな暮らしを実現し、人々のウェルビーイング(Well-being)を高める大きな可能性があると確信しているからです。
建築、インテリア、照明、空調、映像音響、そしてスマートテクノロジーが美しく一体となったとき、住まいは単なる生活の場から、住まう人の心身を整え、人生をより豊かにする空間へと進化するでしょう。私たちは、そんな未来を皆様と共に考え、発信していきたいと考えております」



「別荘建築・アウトドアリビング」をコンセプトに集った7社のプレゼンテーション
続いて、いよいよイベント協賛企業7社のプレゼンテーション内容をレポートしていこう。今回のイベントテーマである「別荘建築・アウトドアリビング」を軸に語られた、各社製品・サービスの魅力を紹介する。そこで浮かび上がってきたのは、人々のウェルビーイングを高めるテクノロジーの姿だった。
【1】Harbour:現代のアウトドアリビングに贈る、オーストラリア発のラグジュアリー家具
1社目に登場したのは「Harbour(ハーバー)」。1976年にオーストラリア・シドニーでギリシャ移民の鍛冶屋ジム・コンドス氏によって設立された、アウトドア家具ブランドだ。


オーストラリアの大自然やコースタルライフ(沿岸での暮らし)を愛する文化を背景に、「インドアの持つ高い品質と快適性を、そのままアウトドアリビングに実現する」という思いから、タイムレスでモダンなデザインの家具を展開している。
今回のプレゼンテーションでは、曲線美が美しい「クロエ」や、3本脚がアイコニックな「ビクトリア」、ギリシャ・ロドス島リンドスのフルーテッドコラムから着想を得た「ロードス」など、多彩なチェアのコレクションが紹介された。チーク材とアルミニウムという2つの異なる素材から、ユーザーが好みに合わせて選択できる商品構成が特徴だ。

また、別荘建築やアウトドア的な観点では、「圧倒的な耐久性と快適性」も魅力となる。Harbourの製品は屋外での過酷な使用に耐えるため、リサイクル粉体塗装のアルミニウムや、インドネシア産の最高グレードAのチーク材を採用。雨に濡れても、クッションを垂直に立てておけば半日ほどでカラッと乾く特殊フォームをクッションに使用するなど、実用性も高い設計となっている。
さらに世界一流ホテルへの導入実績も豊富で、フォーシーズンズなどの高級ホテルをはじめ、アジア圏でも「Alo Yoga」のソウル旗艦店や京都のホテル「カペラ京都」など名だたる施設に納品。今回のイベント会場でも、ラグジュアリーなアウトドア空間を実現するプロダクト群が示された。


【2】DEVIALET :パリ発、建築空間を高品位な音で包むプレミアムオーディオ
続いて登場したのは、2007年にフランス・パリで創業したラグジュアリーオーディオブランド「DEVIALET(デビアレ)」。「音という要素は、我々の生活の豊かさに大きな影響を与える」という思いのもと、今回のプレゼンではブランドの技術力と思想が語られた。


DEVIALETは創業以来、独自技術「ADH(Analog Digital Hybrid)」をはじめとする200件以上の国際特許を取得しているテックカンパニー。そのスピーカーは海外で「ノイズゼロ、歪みゼロ、音の飽和ゼロ」のコンセプトを掲げ、極めてクリアな音響を実現する。
中でも、ブランドのアイコンとなる特徴的なラウンドフォルムのスピーカー「PHANTOM」は、直線の多いモダン建築の中で美しいアクセントともなり、その芸術性も含めて世界中で高く評価されている。これまでにLVMHグループのシャンパンブランド「KRUG」とのコラボや、パリ・オペラ座として知られる歴史的建築・ガルニエ宮内にフラグシップショップを構え、近未来的にスピーカーを配置するなど、多様な展開を行ってきた。

PHANTOMはBtoCからBtoBまで、自在な展開力を擁するのも特徴で、壁掛けから床置き、本格的なマルチチャンネル・ホームシアターの構築に対応。東京「ニュウマン高輪」や大阪「クォーツ心斎橋」などの商業施設、さらにはラグジュアリーホテルのゲストルームや共有スペースまで、幅広い空間への導入実績を誇る。
実は今回のイベントでも、会場の四隅にこのPHANTOMが鎮座。DJスペースの音響を、Danteでシステム構築し、PHANTOMにネットワーク出力してマルチで鳴らす構成になっていた。イベント来場者が、いつの間にか高品位なDEVIALETサウンドに包まれて過ごす……という粋な演出だ。


【3】LUTRON:自然光と照明を一体化する住宅照明制御
3社目に登場したのは、「LUTRON(ルートロン)」。1959年に創業者ジョエル・スピラが世界で初めて「電子式調光器」を発明して以来、照明制御および電動ウィンドウトリートメントの分野をリードし続ける企業だ。


そこには、「上質なデザインと美しい光で暮らしを豊かにする」という60年以上にわたるブランド哲学がある。大きく掲げるのは、「Beautiful:光と空間が調和する上質で美しいデザイン」「Bespoke:住まいごとに寄り添う上質な品質と快適性」「Intuitive:品質と使いやすさを兼ね備えた直感的なコントロール」の3つ。今回のプレゼンでは、「HomeWorks(ホームワークス)」をメインにその開発思想が紹介された。

この「HomeWorks」は、ラグジュアリー住宅向けに開発された、クラウド連携対応のトータルホームコントロールシステムである。海外では30年以上の実績を持ち、日本では2026年1月に満を持して本格展開を開始した。
DALI、位相、PWM、0-10V、DMX等、あらゆるメーカーの照明方式に対応し、クラウド接続により外出先からのリモート操作や自動アップデートが可能というスマートな接続性を持ち合わせている。Crestron等のホームオートメーションシステム、A/V・セキュリティ・空調システムと迅速かつ安全に連携する。
外光ともシームレスにつながる美しい調光・調色によって、住宅における光のあり方を再定義。さらに、数百種類のプレミアムテキスタイルを用意した、精確で静かな電動ウインドートリートメントにも対応する。ハンドメイド仕上げの美しいプレミアムキーパッドと使いやすいアプリで、美しさと直感的で心地よい操作性も両立する。
日常生活の場はもちろんのこと、イベントのテーマである「別荘」や「アウトドア」における快適かつ安全な管理システムとしても、高いポテンシャルを発揮することが示された。


【4】Hanamura:住まいとテクノロジーを融合させる、ラグジュアリースマートホームの仕掛け人
企業プレゼンテーションの前半を締め括ったのは、「ラグジュアリーホームテクノロジーカンパニー」を掲げる「Hanamura」だ。住空間における「見えない技術=スマートホーム」と「美しいインテリア」を繋ぐ革新的なスマートホームプロダクトが紹介された。


マジックミラーを用いたテレビディスプレイ「GLAS LUCE」は、テレビを消している時は美しい鏡として空間を広く見せ、スイッチを入れると艶やかな映像を浮かび上がらせるミラーディスプレイ。また、テレビ収納家具「TV LIFT」は、普段はキャビネット内にテレビを収納し、使用時のみせり上がり、さらに180度回転させることでベッドからもソファーからも映像を楽しめるように設計され、アマン東京やザ・リッツ・カールトン京都などでも採用される。

同社では「スマートホームは目に見えない。見えるのは、スイッチやタブレットなどのUIである」という考えのもと、照明、空調、音響、セキュリティ、床暖房などのあらゆる設備をスマートに一括制御できるコントロールアプリのUIを直感的に進化させ、使い勝手を高めている。
また、従来は個別の「設備コントロール」だった概念が、近年では「おはよう」「おやすみ」といった音声やボタンひとつで一瞬にして最適な空間を呼び出す「オートメーション・シーン制御」へ昇華しているのも注目点だ。同社が今後目指す構想は、AIが自動で住人の健康・快適性・安心を支える住宅プラットフォーム「スマートウェルネスホーム」。それを見据え、今後も建築とインテリアテクノロジーの掛け合わせに取り組んでいく。


【5】PENT:運動する時間を空間の価値へ変える、ポーランド発の最高峰フィットネス家具
企業プレゼンテーションの後半トップバッターは、2011年にポーランドで設立されたラグジュアリー・フィットネス器具ブランド「PENT.(ペント)」が登場。「フィットネス器具を単なる運動ツールではなく、時代を超えて価値を持ち続けるデザイナー家具、そして芸術作品へと昇華させる」という理念を掲げている。


その言葉通り、同社の製品はフィットネス器具でありながら、天然木やレザーなどの素材を組み合わせた家具のようなデザインで、従来のトレーニングツールの概念を一新する。熟練の職人によるメイド・トゥ・オーダー(受注生産)で仕上げられ、6種類の天然木、2色のメタルパーツ、5色のプレミアムレザーを自由に組み合わせ、あらゆるインテリアに美しく調和させることができる。

今回のプレゼンでは、リビングの特等席にも美しく調和する「レジデンスコレクション」を筆頭に、海辺やオープンエアの開放感の中で自然と溶け合う「ボヤージュコレクション」や、旅先でのプライベート空間へも持ち運べる「エニウェアコレクション」などをアピール。
また、同社は「ミラノサローネ」にも出展を果たしており、そこで公開されたブランド初となる本格有酸素マシンや、伝説のボクサーであるモハメド・アリとのコラボレーションによる、美しいエイジング加工を施した最高級レザー仕様の特別コレクションも紹介。PENTが作り出す新しいウェルネスの形が示された形だ。2026年8月6日まで、赤坂のJAXSON TOKYOにて特別展示も行っている。


【6】LiberNovo:ドローンやロボットのエンジニアが開発した、次世代の人間工学電動チェア
続いて登場したのは、「LiberNovo(リベルノーボ)」。座る人の姿勢に合わせて自動で動く「次世代電動ワークチェア」を展開するブランドだ。中国・深圳を拠点に、ドローンの「DJI」やロボット掃除機の「Narwal」などでエンジニアを務めていた人物が創業したテックカンパニーである。


同社の製品はいわゆるエルゴノミクス・チェアのジャンルに属すが、最大の特徴は「電動テクノロジーとの融合」だ。その実力は「iFデザインアワード」や「レッドドット・デザイン賞」の受賞、環境・安全性基準である「グリーンガード・ゴールド認証」の取得などに現れており、デザイナーをはじめクリエイターなど、長時間机に向かうプロフェッショナルたちから熱い支持を集める。
今回は製品実物を用いてプレゼンが行われたが、特に大きいのが内蔵する電動モーターだ。これにより、ボタンひとつで、姿勢を変えることなく座りながら背中のS字カーブへ正確にフィットさせる。

そこに座っているユーザーが動くと、腕を置くアームレストやヘッドレストを含むすべてのパーツが自動で追従し、リクライニングした際に頭や腰の位置がずれる不快感を抑える。5段階(10度ずつ3段階、最大160度)のリクライニングが可能なのもポイント。
ファン内蔵による熱気排出機能を備える製品もあり、クッションタイプの椅子で課題となりがちだった蒸れを、内蔵ファンが風を吸い込むことで解決する。さらに、オプションのフットレストと組み合わせるスタイルも推奨された。日々のウェルネスに繋がっていく、極上の座り心地を実現する。


【7】OS:1953年創業の国産スクリーンメーカーが提案する「非日常の映像空間」
企業プレゼンテーションのラストを締め括ったのは、まさにこのイベントで使用されたスクリーンを製造している企業、OS(オーエス)だ。


OS(オーエス)/株式会社オーエスプラスe 代表取締役 河南義夫氏
同社は1953年にその原型となるスクリーン作りから始まった日本の老舗メーカーで、プロジェクターによる映像空間づくりを一気通貫で手がけており、自社工場での製造・企画・設置工事・保守メンテナンスをトータルで提供している。
今回は、ラグジュアリーな別荘空間へ向けて提案したいキーワードとして、ホームシアターやホームオートメーションによる「非日常の映像空間の提供」を掲げたプレゼンを行った。特に同社がBtoBの世界で培ってきた大型の電動からくり装置の技術が、昨今は、別荘やリゾート施設オーナーからも強く求められている。

その事例として、一般のゲストハウスに導入された400インチの巨大なスクリーンを昇降・収納させる高度な電動システムや、過酷な屋外環境に対応するプロジェクションマッピングが紹介された。屋外でのマッピングは、機器の防塵・防水や給排気を含めた設計が極めて困難だが、オーエスグループは自社工場でのエイジングテストを経て、専用の保護筐体を含めたトータルパッケージでの導入実績を持ち、その別荘でのエンターテインメント演出にも応用可能だ。
また、複雑な映像・音響・装置をワンタッチで動かせる、オリジナルの操作画面(UI)も自社開発しているほか、コア技術である「薄膜スクリーン製造」の技術を応用し、薄型シートで発電し、ポータブル電源や蓄電池に電力を蓄えるエネルギーソリューションも展開する。別荘のアウトドアシーンや、環境配慮型建築への新たなアプローチとして提案した。


ウェルビーイングを高める企業テクノロジーの姿
本記事ではイベントレポート<前編>として、協賛企業7社によるプレゼンテーションの模様をお届けした。
タフで美しい家具、建築と響き合う音響とホームシアター、光の制御技術と空間の美学を崩さないスマートホームテクノロジー、ウェルネスチェア——。それぞれの分野のトップランナーが提示した未来は、単なる利便性の追求ではなく、住まう人の心身を豊かにし、ウェルビーイングを高めるための手段としてテクノロジーを美しく溶け込ませている。
「ラグジュアリー」「ウェルネス」そして「リビングテック」が融合したとき、我々の住まいがどのように進化するのか。その大いなる可能性と熱気を感じさせる前半戦となった。
続く<後編>では、イベントのゲストスピーカーとして登場したエムズ・アーキテクツ代表取締役の高橋昌宏氏による講演「自然とテクノロジーが共鳴する、これからの別荘建築」の様子を詳しくレポートする。
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オーディオ&サブカルライター
杉浦 みな子
1983年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。在学時は映画研究会で映像制作に勤しみつつ、文芸評論家・福田和也教授に師事。2010年よりAV・家電メディアの編集/記者/ライターとして13年間従事し、音楽とコンシューマーエレクトロニクス系の分野を担当。2023年独立。音楽・オーディオ・家電から、歴史・カルチャーまで幅広いテーマで執筆中。実績はこちらから→https://foriio.com/minako-sugiura