DESIGNART TOKYO 2026、銀座の旧KK線にデザイン空間「AUTOBAHN」現る
取材/LWL online編集部
東京の街を舞台に、デザインやアート、インテリア、ファッションなど多彩な表現を紹介する「DESIGNART TOKYO」。第10回を迎える2026年は、銀座・有楽町を走っていた旧東京高速道路、通称「KK線」に、約2,000平方メートルのメイン会場「AUTOBAHN(アウトバーン)」を開設する。空間設計を手がけるのは建築デザインスタジオALTEMY。自動車のためにつくられた都市インフラが、期間限定のデザイン空間へと姿を変える。
旧KK線が約2,000㎡のメイン会場「AUTOBAHN」に
「AUTOBAHN」が設けられるのは、KK線の数寄屋橋交差点付近から東京交通会館付近までの区間。メイン会場は、イベント全体の会期である2026年10月30日から11月8日までのうち、10月30日から11月3日までの5日間限定で開設される。
KK線は、銀座や有楽町のビル群の間を縫うように走っていた高架道路だ。2025年4月に東銀座出口を除いて廃止され、現在は既存の高架施設を活用しながら、歩行者中心の公共的空間へ再生するプロジェクトが進められている。
約60年にわたり自動車専用道路として役割を担ってきた空間を、デザインを通じた交流の場所へと転換する。今回の会場計画は、KK線がこれから担おうとしている新しい都市的役割とも重なるものだ。
ALTEMYが「NO LIMIT」を建築空間として表現
会場名の「AUTOBAHN」は、速度無制限区間を持つことで知られるドイツの高速道路に由来する。空間コンセプトは「NO LIMIT」。既成概念やジャンルの境界を越え、デザインとアートの可能性を広げる場所を目指すという。
かつて速度や効率を追求して整備された高速道路に、あえて「制限のない創造性」を象徴する展示空間をつくる。道路としての記憶を消すのではなく、そのスケールや直線性、移動のイメージを建築表現へ読み替える点が興味深い。
空間を設計するALTEMYは、建築家の津川恵理氏が代表を務める建築デザインスタジオ。建築だけでなく、ランドスケープ、道路、モビリティなどを横断し、場所に根差した新しい風景を提案している。

津川氏は、ニューヨークの高架鉄道跡を緑の回廊へ転換した「ハイライン」の設計で知られるDiller Scofidio + Renfroに在籍した経歴を持ち、都市空間とパフォーミングアーツを組み合わせたプロジェクトにも携わった。都市インフラを人の身体や感性に働きかける空間へ変換する今回の計画において、その経験がどのように表れるのかも注目される。
DESIGNART TOKYO 2026が示す、都市インフラ再利用の可能性
DESIGNART TOKYOは、ショップやギャラリー、商業施設など、東京各地の既存空間を巡りながらデザインとアートに出会うイベントとして展開されてきた。
そこに、役割を終えた高速道路という巨大な都市インフラが加わることで、2026年のメイン会場は単なる展示施設にとどまらないものとなる。展示作品を見るだけでなく、銀座の街を普段とは異なる高さや角度から体験し、都市空間の使い方そのものを考える機会にもなりそうだ。
KK線の恒久的な再整備は今後も段階的に進められるが、「AUTOBAHN」は、その将来像を期間限定で先取りする試みとも捉えられる。車が通り過ぎるための場所を、人が歩き、立ち止まり、デザインを介して交流する場所へと変える。DESIGNART TOKYO 2026は、デザインイベントと都市再生が交差する、新しい銀座の風景を提示することになるだろう。
開催概要
DESIGNART TOKYO 2026
会期:2026年10月30日(金)~11月8日(日)
開催エリア:銀座・東京・六本木・外苑前・表参道・原宿・渋谷・代官山・池尻
メイン会場「AUTOBAHN」
会期:2026年10月30日(金)~11月3日(火・祝)
会場:旧東京高速道路・KK線
区間:数寄屋橋交差点付近~東京交通会館付近
空間設計:ALTEMY
発起人:青木昭夫(MIRU DESIGN)/川上シュン(artless)/小池博史(NON-GRID)/永田宙郷(TIMELESS)/アストリッド・クライン(Klein Dytham architecture)/マーク・ダイサム(Klein Dytham architecture)

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LWL online 編集部