TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2026、10月16日開幕。19組が参加。テーマは「みつめる」
取材/LWL online編集部
「TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2026」が2026年10月16日から11月4日まで、東京ミッドタウン(六本木)で開催される。佐藤卓氏をクリエイティブディレクター、土田貴宏氏をキュレーターに迎え、19組のクリエイターが「みつめる」をテーマに作品を展開。剪定枝から生まれるForestBank、植物を3DスキャンするTAKT PROJECT、北山杉とアクリル、カリモク家具との研究など、自然・素材・家具・テクノロジーが交差する展示をLWL onlineの視点から読み解く。
TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2026、今年のテーマは「みつめる」
TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVEは、「あたりまえの日常が、おもしろくなるデザインイベント。」を掲げるデザインの祭典。
2007年から2024年まで17回開催された「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH」の理念を引き継ぎ、2025年から現在の名称で再始動し、今年で2回目を迎える。
東京ミッドタウンでは、デザインを「何かと何かのあいだを、適切につなぐもの」と捉え、プロダクトやグラフィックはもちろんのこと、暮らしや文化をかたちづくるあらゆるものの中にデザインが存在すると考えているという。
人とモノ、人と空間、自然と都市、そして社会との間に存在する関係を捉え直すこともまた、デザインだという考え方だ。
その思想を象徴しているのが、今年のテーマ「みつめる」である。
佐藤卓氏は、現代ではさまざまな情報に意識を奪われ、落ち着いて一つのものを見る時間が少なくなっている一方、何かを思わず見つめてしまう時間こそ、好奇心が動き出す瞬間になり得るという趣旨をコメントしている。
一方、土田貴宏氏は、「みつめる」ことをデザイナーにとって創造のために欠かせない行為と位置づける。作品を画面越しに消費するのではなく、実物と向き合い、近づいたり離れたりしながら観察する。リアルな体験だからこそ意味があるという趣旨をコメントしている。

自然・素材・テクノロジーを横断する「DESIGN LIVE EXHIBITION」
東京ミッドタウンの剪定枝を新しい素材へ。「ForestBank」
既に複数の屋外展示コンテンツが発表されているが、なかでも、サステナビリティと素材開発の双方から興味深い展示が、プロダクトデザイナー・狩野佑真氏による「ForestBank|Made in TOKYO MIDTOWN」だ。
本来であれば廃棄されることの多い枝葉を水性アクリル樹脂とともに固めた独自の素材「ForestBank」。東京ミッドタウンの敷地の剪定枝も使用したこの素材の表情と、丸太の存在感を見比べることで、木というもののポテンシャルを再発見させる作品である。

完成された木材だけを資源として見るのではなく、都市の緑を維持する過程で生まれる枝葉まで、ひとつの素材として捉え直す試みだ。
作品では、ForestBankと丸太を見比べることで、「木」という素材が持つ可能性そのものを再考する。イベント終了後には、作品の一部を東京ミッドタウン施設内で活用する予定だという。
サステナビリティを廃棄しないことや再利用とだけ捉えるのではなく、これまで十分に価値を見いだされてこなかったものに、新たな用途や美しさを与える。そうした発想を象徴する展示といえそうだ。
植物を3Dスキャン。TAKT PROJECTが探る自然とテクノロジーの関係
LWL onlineとして、テクノロジーとの接点で注目したいのが、デザインスタジオTAKT PROJECTによる「関係のレッスン – Dialogue with Trees -」である。
東京ミッドタウンに息づく植物を見つめ、3Dスキャンによる視点も重ねて、手を加えたくなる衝動を3Dプリンターなどで具現化。敷地をさまようような感覚を共有し、場と対話する意識を喚起して、何気なく接していた環境を見つめ直す体験を目指すという。

3Dスキャンによって、それまで人間の目だけでは捉えていなかった植物の形態をもう一度観察し、自然と人間の関係を考え直す試みである。
テクノロジーが自然から人を遠ざけるのではなく、むしろ「より深く見る」ための道具になりうる。その関係性は、住宅やインテリアにおけるこれからのテクノロジーのあり方を考えるうえで示唆的である。
北山杉×アクリル。河内尚子氏が家具と建築の境界を「みつめる」
素材と空間の関係を考えさせるのが、河内尚子氏による「杉の台」である。
用いられるのは、日本建築の床柱や垂木などに古くから使われてきた北山杉と、透明なアクリル。
伝統的な日本建築では、現在の住空間ほど多くの家具が使われず、家具に相当する機能そのものが建築や室内環境と一体になっていた。河内氏は、自然素材である北山杉と人工素材であるアクリルを組み合わせることで、家具と建築、素材と空間の境界を改めて問いかける。

インテリアを「モノを置くこと」だけで考えるのではなく、建築、素材、家具を連続した空間として捉える視点は、現代の住宅設計にも通じる。
「整った木材」だけが美しいのか。辰野しずか氏×カリモク家具
また、辰野しずか氏の「Inscribed Time」も見逃せない。均質で整った木材と、一般には使いにくいとされてきた個性的な木材を並置し、それぞれの木目に刻まれた時間や環境の痕跡へと視線を向ける作品となっている。

カリモク家具とのリサーチプロジェクト「Traces of Life」から生まれ、工業製品としては欠点と捉えられることもある木材に刻まれた環境や時間の痕跡を、個性や価値として捉え直していく試みだ。
家具製造では、品質を一定に保つために素材を選別し、均質化することが求められてきた。一方で、自然素材は本来一つひとつ異なる表情を持つ。
その違いを消して製品にするのか、それとも違いそのものを価値としてデザインするのか。サステナブルなものづくりが求められる現在、素材と家具との関係について改めて考えさせるテーマでもある。
19組のクリエイターが示す「みつめる」。デザインとは、まだ見えていない価値を発見する
ほかにも、吹きガラスによるシャンデリアの製造技法を用いた畠中美緒氏の「Spirale」、木材と木工技術を探究したAkasaki & Vanhuyseのロースツール「Carré」、本物の植物とプラスチック製の植物を組み合わせる寺山紀彦氏の作品、石膏ボードの製造過程で生じる廃材を再利用するJames Kaoru Bury氏の「Ceiling」など、多様な作品が展示される。

共通しているのは、新しい形を生み出すことだけをデザインと考えていない点だ。すでにそこにある植物、木材、廃材、建築、製造技術、そして日常の風景をもう一度丁寧に「みつめる」。
「みつめる」ことで、それまで見えていなかった関係や価値を発見し、別の形で暮らしへ返す。
自然とテクノロジー、伝統素材と工業素材、家具と建築など、別々に語られがちな領域の境界が曖昧になりつつある現在、「みつめる」という静かな行為は、これからのデザインを考えるために重要な出発点となるだろう。
「TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2026」は、10月16日から11月4日まで東京ミッドタウン各所で開催。メインの「DESIGN LIVE EXHIBITION」は芝生広場およびガレリアB1・1Fで展開。
会期中には展示のほか、10月17・18日の音楽ライブ「DESIGN LIVE MUSIC」、10月24・25日のブックマルシェ「DESIGN LIVE MARKET by 読の市」、トークイベントなども予定されている。
イベントの詳細情報は9月、展示作品の詳細は10月に公開される予定だ。
TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2026 開催概要
- 名称: TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2026
- 会期: 2026年10月16日(金)〜11月4日(水)
- 会場: 東京ミッドタウン各所
- テーマ: 「みつめる」
- クリエイティブディレクター: 佐藤卓
- 「DESIGN LIVE EXHIBITION」キュレーター: 土田貴宏
- 参加クリエイター: 19組
- 主催: 東京ミッドタウン
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LWL online 編集部