コシノジュンコ×竹芸、「対極」が生む新たな表現。大分市美術館で6人の竹芸作家と企画展

fy7d(エフワイセブンディー)代表/遠藤義人 

ファッションデザイナーのコシノジュンコと、大分で活動する6人の竹芸作家が出会う。大分市美術館で、企画展「6人の竹芸作家とコシノジュンコの出会い『対極』」が9月16日から開催される。1983年のパリコレクション以来、竹と向き合ってきたコシノジュンコと、次世代の竹芸作家たちは「対極」というテーマから何を生み出すのか。その制作の背景を、記者会見から紹介する。

大分の竹文化を次世代へ。「MEET BAMBOO PROJECT JAPAN」とは

文化庁の令和5年度予算で設立されたクリエイター支援基金採択を受けて、大分市美術館が5年がかりで取り組む事業の3年目にあたる「MEET BAMBOO PROJECT JAPAN」は、大分の地域資源である竹文化を基盤に、若手竹芸作家とキュレーター(学芸員)を育成するプロジェクト。大分で活躍する若手竹芸作家6名を育成対象のアーティストとして選定し、異ジャンルの作家とのコラボレーションを通じて新たな視点を獲得してもらう取り組みだ。

コシノジュンコを交えた取り組みは、昨年夏頃から始まり、その成果を発表するのが今回発表された企画展「6人の竹芸作家とコシノジュンコの出会い『対極』」である。

コシノジュンコと竹、その出会いは1983年のパリコレクション

コシノジュンコは、次のように語った。

「私の竹との出会いは、1983年のパリコレクションでした。その年は、フランスにおける日本年だったんですね。そこで日本を象徴するものとして思い浮かんだのが竹でした。日本の伝統工芸の中でも一番分かりやすく、当時はハードのイメージが先行していましたが、私が入ることでソフトの方にも展開できると踏んだのです。ファッションに取り入れるのは難しかったのですが、このビスチェ(衣装)はたいへん好評を得ました。竹は、最も日本らしい典型的な素材であり、衣食住をトータルに賄う根本的なものですが、アートに関して本格的に取り組むのは初めてではないでしょうか、期待しています」

竹を編み上げて制作されたビスチェを着用したマネキンの正面
竹を編み上げたビスチェの背面と結び部分
「制作を依頼した竹職人・毛利健一さんがこれまで衣服は作ったことがないと困惑されていたので、紙でパターンを作りその通りに作ってもらいました。ハードなもので衣服を作るという挑戦でしたが、背面が開いて誰でも着用できます」(コシノジュンコ)。いまでも新鮮な輝きを保っている

6人の竹芸作家が「対極」というテーマと向き合う

今回選ばれた竹芸作家6名のうち、この日登壇したのは近藤昌代と谷口倫都の2名だ。

近藤昌代――「粗密」で表現する竹の力強さと繊細さ

「対極」をテーマにした竹芸作品の制作について語る登壇者

近藤が「今回のテーマが『対極』ということで、技法による制約がある中で私の得意とする編みのうちどれが一番このテーマを表現できるかを考えた結果、浮かんだのが“粗密”でした。テーマの表現と、技術的な制約のバランスが難しいのですが、とても愉しみながら現在制作中です」と話すと、コシノは「先日大分に伺ったときに拝見しました。竹の力強さと繊細さを表現していて、色も赤と黒で『対極』というテーマが見事に表現されていました」と評した。

谷口倫都――赤と黒、自然と人。「対極」の先にあるつながり

記者会見で竹芸作品と「対極」というテーマについて語る登壇者

谷口は「私はふだん竹の作品では白竹(皮付きのまま無着色)で使い、形だけの表現が多いのです。コシノジュンコさんの作品を拝見し『対極』というテーマを考えたときに、赤と黒、四角と三角といった対極構造が明快に表現されていることに感銘を受け、そういったところを採り入れながら自分の作品に仕上げていきたいと思いました。当初は『対極』を相反することと捉えていたのですが、考えていくうちに、表と裏、自然と人のように、一見相反するように見えて、実は切っても切り離せない繋がりといったものを一つのものとしての存在として表現しようと取り組んでいます。赤と黒のツートンでせめぎあっているように」と話した。

コシノジュンコが語る「対極」。大切なのは『バランス』

記者会見で身振りを交えながら「対極」とバランスについて語るデザイナー

それに対してコシノは、そもそもの『対極』の考え方について「『対極』って基本的には人間の体だと思っているんです。右手と左手、バランスだと思っています。地球と生物、人間なら男と女、それぞれのバランス感覚が大切だと考えています」と語った。

展覧会「6人の竹芸作家とコシノジュンコの出会い『対極』」開催概要

  • 名称:「6人の竹芸作家とコシノジュンコの出会い『対極』」
  • 会期:9月16日〜11月15日、10時〜18時(最終入館17:30)
  • 休館日:9月24日、28日、10月13日、19日、26日、11月9日
  • 場所:大分市美術館常設展示室
  • 観覧料:一般440円、高校生等220円、中学生以下無料
  • 主催:大分市美術館、大分合同新聞社、Meet Bamboo実行委員会
  • 助成:クリエイター支援基金

6人の竹芸作家とコシノジュンコの出会い 『対極』

  • fy7d(エフワイセブンディー)代表

    遠藤義人

    ホームシアターのある暮らしをコンサルティングするfy7d(エフワイセブンディー)代表。ホームシアター専門誌「ホームシアター/Foyer(ホワイエ)」の編集長を経て独立、住宅・インテリアとの調和も考えたオーディオビジュアル記事の編集・執筆のほか、システムプランニングも行う。「LINN the learning journey to make better sound.」(編集、ステレオサウンド)、「聞いて聞いて!音と耳のはなし」(共著、福音館書店。読書感想文全国コンクール課題図書、福祉文化財推薦作品)など。

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