TRIAD、ハワイ・ホノルルの「Colony Surf」をリノベーション。海景を主役にしたアーバンリゾート
取材/LWL online編集部
株式会社TRIADは、ハワイ州オアフ島ホノルルに位置するオーシャンフロントコンドミニアム「Colony Surf(コロニーサーフ)」の一室を対象としたリノベーションプロジェクトを完了した。
1959年に竣工したワイキキ東端のレジデンスを、太平洋の景観を主役とする現代的な住空間へ刷新。建物が持つ歴史や土地の特性を尊重しながら、長期滞在やセカンドハウスとしての機能性を備えた、新たな居住価値を提案している。
ワイキキ東端に建つ、1959年竣工のオーシャンフロントレジデンス
Colony Surfは、ワイキキ東端の通称「ゴールドコースト」に位置するオーシャンフロントコンドミニアムだ。目の前には太平洋が広がり、背後にはダイヤモンドヘッドとカピオラニ公園を擁する。
建物は1959年に竣工したRC造20階建てで、総戸数は174戸。今回のプロジェクトでは、専有面積900平方フィート、約83.61平方メートルの一区分をリノベーションした。
ハワイでは土地を所有せず、一定期間の利用権を取得する借地権物件も少なくない。一方、Colony Surfは、土地の権利を含めて所有する「Fee Simple」の物件であり、ハワイのレジデンスとして高い希少性を備えるという。
さらにTRIADによれば、現在の法規制下では同様のビーチフロント立地で新たな建物を開発することは難しく、代替となる供給も限られている。建築そのものに加え、海との距離や周辺環境を含めた立地が、物件の価値を形づくっている。

太平洋の景観を室内の中心に据える
今回のリノベーションで設計の主軸となったのが、室内から望むオーシャンビューだ。
家具の配置や室内動線、視線の抜けまでを細かく検討し、リビングやダイニングのさまざまな場所から海を眺められる空間を構築。朝の穏やかな海から夕暮れまで、刻々と変化する太平洋の表情を日常の風景として取り込んでいる。
特注家具についても、景観を遮ったり室内を圧迫したりしないよう、高さやボリュームを慎重に調整。窓の外に広がる海を装飾の一部として扱うのではなく、空間全体を構成する主要な要素として捉えている点が特徴だ。

装飾を抑え、素材と光で奥行きを生み出す
インテリアは、過度な装飾を避けた抑制の効いたデザインでまとめられている。大理石、木材、石材など、素材そのものが持つ質感を空間の中心に据え、ハワイの光や海の色彩を引き立てる構成とした。
カラーパレットも落ち着いた色調に統一。素材の表情と室内に入る自然光によって奥行きを生み出し、リゾートらしい開放感と、都市型住宅の洗練を両立させている。
内装デザインを担当した株式会社ガーメントの代表、安立尚斗氏は、一般的なハワイやカリフォルニアのリゾートスタイルではなく、ミラノやニューヨークを思わせる「モードなアーバンリゾートスタイル」をコンセプトに掲げたと説明する。
そのため、まず天井面の造作や照明器具をなくし、視界を整理することから設計を開始したという。視線を室内の装飾へ向けるのではなく、窓の外に広がる景色へと自然に導くための判断だ。
フラットな木壁と曲面が生む、静かなモード感
木壁には、節のないオーク材を採用。目地を見せず、壁面全体をフラットに納めることで、素材の存在感を保ちながらも視覚的なノイズを抑えている。
一方、壁面のコーナーには100ミリのアール加工を施した。直線を基調とした端正な空間に緩やかな曲面を加えることで、柔らかさとモード感を両立させている。

大理石やタイル、壁面収納、特注キッチン、水回り設備についても、設備や部材が過度に主張しないよう、納まりを細部まで調整した。素材を豪華に見せるのではなく、質の高い素材を精緻に組み合わせることで、景色を引き立てる背景として成立させている。
日本とハワイをまたいで実現した精緻な納まり
今回のプロジェクトでは、日本で構想した精緻な納まりを、ハワイの施工環境で実現することも大きな課題となった。安立氏によれば、目地を目立たせないフラットな壁面や、造作家具と建築を一体化させる納まりは、現地の施工環境では容易に実現できるものではなかったという。
設計チームは、現地のローカルコントラクターと現場およびリモートで調整を重ね、ディテールを一つずつ確認。米国内で調達できない部材については、日本で製作して現地へ輸送した。
デザインコンセプトを図面上の表現にとどめず、異なる施工文化や調達環境のなかで、どのように現実の空間へ落とし込むか。海外リノベーションならではのプロジェクトマネジメントも、完成度を左右する重要な要素となった。

長期滞在やセカンドハウスとしての機能性も向上
キッチンや水回りは全面的に更新し、現代のライフスタイルに対応する機能性を確保した。

短期間のリゾート滞在だけでなく、長期滞在やセカンドハウスとしての日常的な利用も想定。特注キッチンや収納、設備機器を空間全体のデザインに統合し、意匠性と実用性のバランスを図っている。

リゾートレジデンスに求められるのは、非日常的な眺望や開放感だけではない。滞在が長くなるほど、収納や水回り、動線といった住宅としての基本性能が居住体験を左右する。
今回のプロジェクトは、ホノルルの景観と歴史的な建物を継承しながら、現代の暮らしに必要な機能を付加することで、既存レジデンスの価値を再編集した事例といえるだろう。
建物概要
- 名称: Colony Surf
- 所在地: アメリカ合衆国ハワイ州オアフ島ホノルル
- 竣工年: 1959年
- 種別: コンドミニアム
- 構造・規模: RC造20階建て
- 総戸数: 174戸
- プロジェクト対象: 一区分
- 対象専有面積: 900平方フィート/83.61平方メートル/25.29坪
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LWL online 編集部