リビタ、都市のノイズを“背景音”に。「音の借景」をテーマにしたリノベーション住宅
fy7d(エフワイセブンディー)代表/遠藤義人
リノベーション住宅において、音はしばしば「遮るべきもの」として扱われてきた。だが、ReBITA(リビタ)が東京・広尾に完成させた「icco+c」シリーズの最新物件は、都市のノイズを単に排除するのではなく、室内の響きと調和させることで“背景音”として取り込むことを試みている。テーマは「音の借景」。神山聴景事務所による聴景デザインと、listudeの無指向性スピーカーが導入された住まいを、実際に内覧した。



「聴景デザイン」を取り入れ、音を軸に住環境を設計
恵比寿駅から徒歩7分。訪れたのは、幹線道路と渋谷川に挟まれた築40年ほどの14階建てマンションで、広尾駅にも10分ほどと、交通至便な都内の一等地といえる。オフィスビルが立ち並ぶ合間に東京タワーも見える、61.23㎡、2LDKだ。

この日対応してくれたのは、企画を担当した分譲事業本部レジデンシャル事業部ユニット推進の好田未来さん。
都市の騒音を遮断して居室の静音を保つという考え方ではなく、それをむしろ環境音として生かしつつ室内の響きと調和させることで、都会ならではの“心地いい”音の住まいを実現するという考えに基づくという。
彼女曰く、「音の借景」だ。

「icco+c」が目指す、個性あるリノベーション住宅
「この物件は、弊社の手掛ける一戸ごとに吟味した住まい『icco icco』を発展させ、協業会社と連携することでより個性を深めようとする『icco+c』の3件目です。もっと豊かな暮らしのあり方を模索していく中で、この物件を担当することに。音環境も景観も特段アピールにならないという前提で、いかにして窓を開ける選択肢をつくるかがテーマになりました」
好田さんはこうした課題を解決するため、屋外広場や商業施設など公共空間の音環境をデザインする神山聴景事務所をパートナーに選んだ。
都市のノイズを分析・調和させることで“背景音”へ変える「聴景デザイン」を施すことで、空間の印象だけでなく、その場における人の過ごし方をも変えるという。音響メーカーのオーディオテクニカが子ども向けイベントを開催することで知られる立川・立飛のGREEN SPRINGSにも導入されている。
「今回は、建物の外部と内部を調和させるオリジナルの環境音を制作していただきました。外部の音を蒐集しそのまま使うのではなく、周波数やリズムを分析して、ご自身で音を創るんです」
listude(リスチュード)の無指向性スピーカーが空間に音を広げる
LDKの大空間には、適切な残響時間となるよう計算された吸音パネルを天井に施したうえで、山梨・北杜の無指向性スピーカーメーカー「listude(リスチュード)」の八面体スピーカー「sight(サイト)」を導入。音が空間全体へ穏やかに広がる仕掛けとした。




断熱・遮音・環境音がつくる、都市住宅の新しい心地よさ
もちろん、ベランダに繋がるサッシに内窓を増設して二重サッシ化したり、「ZEH Oriented」基準を満たす省エネ性能を確保し、BELS評価も取得している。
断熱性能の向上は結果として遮音性にも貢献しており、サッシを閉めれば都会のクールな環境音が遮断され、室内の会話や音楽がふわり暖かく浮かび上がる。

窓を開けると、ビルに反射したクルマの音ばかりに耳が引っ張られがちだが、この部屋では、都会の喧噪の合間に、神山さんが制作したBGMには入っていないはずの鳥の音が聞こえてくる。都会に住む我々が本質的に求めているのは、イイ音よりも、心地いい音なのかもしれない。




- 株式会社リビタ
- 東京都目黒区三田1-12-23MT2ビル
- https://www.rebita.co.jp
- 神山聴景事務所
- 東京都千代田区内神田1-15-12
- https://www.soundscapedesigner.jp
- リスチュード
- 山梨県北杜市大泉町谷戸7543
- https://www.listude.jp/
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fy7d(エフワイセブンディー)代表
遠藤義人
ホームシアターのある暮らしをコンサルティングするfy7d(エフワイセブンディー)代表。ホームシアター専門誌「ホームシアター/Foyer(ホワイエ)」の編集長を経て独立、住宅・インテリアとの調和も考えたオーディオビジュアル記事の編集・執筆のほか、システムプランニングも行う。「LINN the learning journey to make better sound.」(編集、ステレオサウンド)、「聞いて聞いて!音と耳のはなし」(共著、福音館書店。読書感想文全国コンクール課題図書、福祉文化財推薦作品)など。