カリモク家具、新作家具「MORIWA」を発表。芦沢啓治と拓くスギ材・地域材活用の新しいかたち
取材/LWL online編集部
カリモク家具は、建築家・プロダクトデザイナーの芦沢啓治氏と協働した新作家具コレクション「MORIWA(モリワ)」を発表した。2026年7月1日より発売され、7月上旬から全国のカリモク家具ショールームで順次展示される予定だ。広葉樹を中心に家具づくりを続けてきた同社にとって、スギを主材とする初のコレクションとなる。
カリモク家具が挑む、針葉樹を使った新作家具コレクション
「MORIWA」は、カリモク家具にとって新たな素材への挑戦となる家具コレクションである。
同社では、これまで家具材としては広葉樹が多く用いられてきた。一方で、日本の木材生産量の多くを占める針葉樹、とりわけスギは、柔らかさや強度の面から家具材としての活用が難しいとされてきた。
今回のコレクションでは、スギの軽さや木目の美しさを活かしながら、強度が求められる部分には広葉樹を組み合わせることで、針葉樹ならではの表情と、日常使いに耐える構造を両立した。節や色ムラも素材の個性として取り込み、自然素材の質感を空間に引き込むデザインとして仕上げている。

奥多摩の森から始まった、地域材活用のプロジェクト
開発の起点となったのは、野村不動産グループが東京都・奥多摩町で進める「森を、つなぐ」東京プロジェクトだ。このプロジェクトは、循環する森づくりや生物多様性、未来を担う人づくりを通じて、持続可能な社会の実現を目指す取り組みとして展開されている。
そのフィールドである「つなぐ森」では、これまでバイオマス燃料として燃やされていた小径材・節有材を家具材として活用する取り組みを促進。カリモク家具、建築家・プロダクトデザイナーの芦沢啓治氏、野村不動産グループの協働により、こうした木材を家具として価値化する開発が進められ、2025年度グッドデザイン賞も受賞している。
「MORIWA」は、この奥多摩での実践をもとに、全国各地の地域材活用へと広げていくためのコレクションとして位置づけられる。「森」と「和・環・輪」を重ねた名称には、ものづくりを通じて森の循環へとつなげるという思いが込められている。

芦沢啓治が手がける、制約を美しさに変えるデザイン
デザインを手がけた芦沢啓治氏は、横浜国立大学建築学科を卒業後、2005年に芦沢啓治建築設計事務所を設立。石巻工房のファウンダーとしても知られ、「正直なデザイン / Honest Design」を掲げ、建築、インテリア、家具、照明まで幅広く手がけてきた。
近年では、TRUNK(HOTEL) YOYOGI PARKやBLUE BOTTLE COFFEEの空間設計、カリモク家具やKOKUYO、海外ブランドとのプロダクト開発など、空間とものづくりを横断する活動を展開している。

「MORIWA」では、スギという素材の制約を弱点としてではなく、デザインの個性として読み解いた。脚部や背もたれにはやわらかな丸みを持たせ、立ち座りのしやすさや身体への当たりにも配慮。開発プロセスには、視覚障がい者や車椅子・義足利用者が参加するインクルーシブデザインの手法も取り入れられている。
機能への配慮がフォルムの統一感や家具としての佇まいにつながっている点も、このコレクションの大きな特徴といえるだろう。


チェア、テーブル、ベンチなど全6種を展開
初回ラインナップは、アームチェア、タスクチェア、サイドチェア、テーブル、ラウンドテーブル、ベンチの全6種。カラーは、スギ本来の明るい木目を活かす「Clear」、節や色ムラを落ち着いた印象に整える「Smoked」、空間を引き締める「Black」の3色を用意する。

アームチェアは、広い背もたれに針葉樹の木目が映えるデザインで、2脚までスタッキング可能。タスクチェアはアームチェアのデザインを受け継ぎながら、キャスター脚を採用し、ホームオフィスなどでの使用を想定する。
サイドチェアは、直線的な脚と丸みのある背・座を組み合わせたシンプルな構成で、ダイニングや会議室にもなじむ。テーブルは1〜2人掛けから6人掛けまで複数サイズを展開し、住宅から商業空間まで対応。ラウンドテーブルやベンチも含め、同じデザインコードで空間全体を構成できるのも特徴だ。

サステナブルな住空間とコントラクト市場への提案
「MORIWA」は、住宅だけでなく、オフィス、ホテル、商業施設、公共空間などのコントラクト案件への導入も視野に入れる。近年のインテリアプロジェクトでは、地産材や地域材の活用が仕様要件として求められるケースも増えている。
一方で、広葉樹は産地が限られ、調達や乾燥に時間を要するケースも多い。全国各地に広く分布するスギを家具材として活用できれば、地域性を空間に取り込みながら、サステナビリティをより具体的に表現することが可能になる。
ラグジュアリーな住空間やホスピタリティ空間においても、これからは単に高価な素材を使うだけでなく、その素材がどこから来て、どのような循環を生み出すのかが問われる時代になっている。
カリモク家具と芦沢啓治氏による「MORIWA」は、森林資源活用とデザイン、地域材とラグジュアリー、そしてサステナブルな空間づくりを結びつける新しい家具コレクションとして注目されそうだ。

製品スペック
Arm Chair
- デザイン:芦沢啓治
- 塗装色:Clear / Smoked / Black
- 主材:スギ
- サイズ:W560 × D550 × H785mm / SH470mm
- 価格:132,220円(税込)

特徴的な広い背もたれに、針葉樹の美しい木目が映えるアームチェア。ゆったりと体を包み込むようなフォルムに対し、脚は針葉樹ながら繊細なラインを描いている。流れるように続くアームは、立ち座りのしやすさにも配慮した設計。2脚までスタッキング可能で、オフィスや商業施設、公共空間での利用にも適している。
Task Chair
- デザイン:芦沢啓治
- 塗装色:Clear / Smoked / Black
- 主材:スギ
- サイズ:W655 × D625 × H780〜850mm / SH430〜500mm
- 価格:160,380円(税込)

アームチェアのデザインを継承し、機能的なキャスター脚を採用したタスクチェア。書斎やオフィスをはじめ、さまざまな空間でアクティブな動きをサポートする。アームチェアやサイドチェアと組み合わせることで、空間の統一感を保ちながら、フレキシブルなワークスペースを構成できる。
Side Chair
- デザイン:芦沢啓治
- 塗装色:Clear / Smoked / Black
- 主材:スギ
- サイズ:W470 × D485 × H760mm / SH470mm
- 価格:113,300円(税込)

直線的な脚に、丸みのある背や座を合わせたシンプルで温かみのあるチェア。ダイニングをはじめ、書斎や会議室など幅広いシーンで活躍する。ゆったりとした座面には、長時間座っても疲れにくい高密度ウレタンを採用。2脚までスタッキング可能で、オフィスや商業施設、公共空間での利用にも適している。
Table
- デザイン:芦沢啓治
- 塗装色:Clear / Smoked / Black
- 主材:スギ / クリ
- 価格:257,400円〜440,000円(税込)
- サイズ:
- 1〜2人掛け:W900 × D900 × H720mm
- 4人掛け:W1500 × D900 × H720mm
- 6人掛け:W1800 × D1000 × H720mm
- 6人掛け:W2100 × D1100 × H720mm
- 6人掛け:W2400 × D1200 × H720mm



さまざまな空間にフィットする、豊富なサイズバリエーションを備えた汎用テーブル。4本脚のシンプルなデザインにより多用途に使いやすく、置く場所を選ばない。角を丸く仕上げて安全性に配慮しつつ、天板のテーパー加工により、すっきりとした印象に仕上げている。
Round Table
- デザイン:芦沢啓治
塗装色:Clear / Smoked / Black
主材:スギ / クリ / スチール
W600 × D600 × H720mm
W900 × D900 × H720mm
価格:184,800円〜264,000円(税込)

テーブルと同様に、天板のテーパー加工によりすっきりとした印象に仕上げた円形テーブル。脚のベースにスチールを採用することで、より軽やかなデザインとしている。1本脚のデザインにより足元が広く、さまざまなチェアと合わせやすい。
Bench
- デザイン:芦沢啓治
- 塗装色:Clear / Smoked / Black
- 主材:スギ
- サイズ:W1300 × D400 × H420mm
- 価格:172,700円(税込)

並んで座れるベンチは人数を限定しにくく、人が集まる場所で活躍する。エントランスの来客スペースや、空間を彩るディスプレイのような使い方にも対応。同じデザインコードのテーブルと組み合わせることで、空間全体に心地よい調和をもたらす。
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取材
LWL online 編集部