PENT.がJAXSON TOKYOで期間限定展示。duxが提案する「Interior Fitness」とは?
取材/LWL online編集部
ポーランド発のラグジュアリー・フィットネスブランド「PENT.」が、バスタブブランドJAXSONのショールームにて期間限定展示を行っている。日本正規輸入販売元を務めるのは、株式会社dux。LWL onlineではこれまで、PENT.を単なる高級フィットネス機器ではなく、住空間の中に美しく溶け込む「Interior Fitness」として紹介してきた。今回の展示は、その思想を実際の空間で体感できる貴重な機会となっている。
取材に応じていただいたのは、dux代表の松嶋 環氏。長年にわたり富裕層邸宅のインテリアコーディネートに携わってきた松嶋氏は、なぜPENT.を日本に紹介しようと考えたのか。そして、duxはPENT.を通じて、どのような住空間とウェルネスの未来を描こうとしているのか。JAXSONでの展示を訪ね、その背景をうかがった。

フィットネス機器ではなく、家具として考えられたPENT.
PENT.は、ポーランドで生まれたラグジュアリー・フィットネスブランドである。トレッドミル、エアロバイク、ダンベル、ケトルベル、ピラティスリフォーマー、バランストレーナー、レザーマットなど、多様なフィットネスツールを展開するが、その佇まいは、一般的なトレーニング機器のイメージとは大きく異なる。
金属の塊として存在感を放つのではなく、天然木やレザー、精密なメタルパーツが組み合わされ、空間に自然に馴染む。手に触れる部分には温もりがあり、フォルムには柔らかさがある。PENT.のプロダクトは、運動のための道具でありながら、リビングや寝室、ホテルのスイートルーム、別荘、ヨットのデッキに置かれても違和感のない、上質な家具のような存在感を持っている。
松嶋氏は、PENT.について「本当に家具なんです」と語る。この一言には、PENT.の核心が端的に表れている。ホームジムの機器を「隠すもの」として扱うのではなく、住空間を構成する要素として見せる。あるいは、トレーニングの場を、生活の延長にある美しい時間として設計する。PENT.の価値は、まさにその転換にある。
なぜduxはPENT.を日本に紹介したのか?
duxがPENT.の取り扱いを始めたのは、2025年末のことだという。
松嶋氏はそれ以前から、富裕層邸宅のインテリアコーディネートに長く携わってきた。高級住宅を手掛ける設計事務所やハウスメーカーでの仕事を通じて、住宅の中にフィットネスルームが設けられる場面を数多く見てきたという。
しかし、そこで見えていた風景には、ある違和感があった。
邸宅そのものは上質に、そしてラグジュアリーに設計されている。リビング、ダイニング、ベッドルーム、バスルーム、サウナなど、空間ごとに素材や照明、家具が丁寧に選ばれている。ところがフィットネスルームになると、急にそこだけは、床はビニール床タイル、壁はコンクリート打ち放し、そこに黒いトレーニング機器が並ぶ、という構成になりがちだった。
もちろん機能的には成立している。しかし、住まい全体の世界観から見ると、そこだけが「ジム然」としてしまう。ラグジュアリー住宅の中で、フィットネス空間だけが無機的な設備室のように切り離されてしまうのだ。その状況を変えたいという想いが、松嶋氏にはあった。
転機となったのは、海外のインテリアデザイナーが手がけたフィットネス空間だった。そこにはPENT.が置かれていたという。松嶋氏は、その空間を見て「これ(PENT.)があるから、この空間ができている」と感じた。フィットネス機器が空間の質を下げるのではなく、むしろ空間を完成させる。その可能性を見たことが、PENT.に辿り着くきっかけとなった。
ポーランドの工場で見たクラフトマンシップ
松嶋氏は、PENT.の本国であるポーランドにも足を運び、直接交渉を行った。現地では、PENT.のプロダクトがどのように作られているのかも見ている。
PENT.の本社の裏手に工場があり、製品はそこで一つひとつ手作業によって仕上げられているという。木部の滑らかな曲線、レザーの張り、金属パーツの精度。写真で見ても美しいが、実物に触れると、そこに込められたクラフトの密度がよりはっきりと伝わってきた。
本社と工場の距離の近さも印象的だったという。日本市場に向けた細かなリクエストがあると、担当者を通じてすぐ生産側に伝わる。松嶋氏は、日本の住空間に求められる品質基準の高さを伝えながら、PENT.側とコミュニケーションを重ねているという。
PENT.は、単にデザイン性の高いフィットネスブランドではなく、家具づくり、工芸、精密な設計、そして人の手による仕上げなどの積み重ねが、住空間に置くにふさわしい存在感を生み出しているのだ。
8つのコレクションで見せる、日本独自の提案
duxはPENT.を日本で展開するにあたり、単にアイテムを並べて紹介するのではなく、空間の用途やシーンに合わせた8つのコレクションとして整理している。これはduxならではのローカライズであり、建築家やインテリアデザイナー、デベロッパー、施主がPENT.を空間に落とし込むための入口でもある。
たとえば「Residence Collection」は、私邸のリビングやプライベートジムにふさわしい構成だ。手動式トレッドミルのIRENA、手動式エアロバイクのHANIA、可動式ベンチのBANKAなどが、家具のような佇まいで空間に置かれる。

PENT.のプロダクトは、トレーニング機器でありながら、住空間に自然に馴染む家具のような佇まいを持つ
「Sanctuary Collection」は、寝室の傍らやプライベートな休息空間に向けたもの。ダンベルやケトルベル、マット、ローラーなどが、オブジェのように収まり、自分と向き合うセルフケアの時間をつくる。

寝室の傍らにも自然に収まるPENT.。身体を整える道具が、空間の質を損なわずに日常へ入り込む
「Retreat Collection」は、心身をリセットするためのより本格的な空間を想定する。ウォールバー、プレスベンチラック、ボクシングバッグなどを組み合わせ、鍛錬の場でありながら、空間としての端正さを保つ。

無機質なトレーニングルームではなく、素材、照明、眺望まで含めて設計されたウェルネス空間
「Anywhere Collection」は、ワゴンやトランクにツールを収め、必要な場所へ移動できる構成である。ホテルのスイートルーム、別荘、書斎、寝室、リビングの一角。使うときに広げ、使わないときには美しく収めるという発想は、従来のホームジムとはまったく異なる。

必要なときに広げ、使わないときには美しく収める。PENT.は滞在先の一室にもフィットネスの時間をもたらす
さらに、海辺やヨットでの使用を想起させる「Voyage Collection」、ピラティスのための「Pilates Collection」、本格的なホームジムを構成する「Gym Collection」、そして縄跳びやフォームローラー、ヨガベルト、レザーマットなど細部の道具を揃える「Accessory Collection」まで、PENT.の世界は幅広い。


海辺やヨットのデッキにも馴染むPENT.。旅先でも自分らしく身体を整えるためのコレクション

天然木と精密な機構が融合したPENT.のピラティスコレクション。動き、フォルム、空間が静かに調和する
これらが単なる商品分類ではなく、空間提案であるという点が重要である。どの部屋に、どのような時間をつくるのか。duxはPENT.を通じて、その問いを設計者や施主に投げかけている。
なぜJAXSON TOKYOで展示するのか?
今回、PENT.の展示が行われているJAXSON TOKYOは、バスタブを単なる住宅設備ではなく、身体を解きほぐし、感覚を整えるための体験として提案してきたブランド、JAXSONが展開するショールームである。LWL onlineでは、過去にブランドヒストリーを掲載したが、このJAXSONのショールームにPENT.が置かれることには、高い親和性がある。
松嶋氏は、JAXSONの空間を見ながら、サウナ、水風呂、フィットネスが連続するシーンを想定する。身体を温め、冷やし、動かし、整える。ラグジュアリー住宅におけるウェルネスは、もはや単独の設備ではなく、空間同士の連なりとして設計される段階に入りつつある。
近年、高級住宅や別荘ではサウナの導入が急速に進んでいるが、松嶋氏も「今の日本では、サウナはマストになってきている」と話す。その次に来るものとして、フィットネスルームがあるのではないか。実際、建築家や住宅プロデューサーの間でも、ホームジムやプライベートフィットネス空間への関心は高まりつつある。
今回の展示には、建築家やデベロッパー、プロデューサーが施主を連れて訪れることも多いという。展示は完全予約制で行われており、来場者からは「こういうものがあるなら、もっと早く知りたかった」「モデルハウスに入れたかった」といったさまざまな反応が寄せられているという。
それは、PENT.が単なる「高級な運動器具」として見られているのではなく、空間の作り方そのものを変える素材として受け止められていることを示している。


PENT.が変える「日本のホームジム」の風景
PENT.があることで、どのような空間が実現できるのか。
まず、フィットネスルームは「隠す場所」ではなくなる。従来のホームジムは、地下や余剰スペースにまとめられ、生活空間から切り離されることが多かった。しかしPENT.であれば、リビングの一角、寝室の傍ら、テラス、書斎、スイートルームにも置くことができる。トレーニングのための道具でありながら、空間の質を損なわないからだ。
次に、運動の意味が変わる。PENT.がつくるのは、筋肉を追い込むだけの場所ではない。音楽があり、香りがあり、光があり、手触りがある。そこで身体を動かす時間は、自分と向き合い、コンディションを整える時間になる。

そして、建築やインテリアの設計において、フィットネス空間を最初から組み込むことが可能になる。床、壁、天井、照明、音響、香り、バスルーム、サウナ、水風呂との関係まで含めて、ひとつのウェルネス空間として構想できる。
これは、LWL onlineが継続的に扱ってきた「住まいとウェルネス」の文脈とも深く重なる。ラグジュアリーとは、単に高価なものを集めることにはとどまらない。自分の身体と心をどのように扱うか、その時間をどのような空間で過ごすか。その質を高めることこそ、これからの住まいに求められる価値である。
duxが目指す「ウェルネス空間の総合プロデュース」
duxの事業は、PENT.の輸入販売だけにとどまらない。松嶋氏は、事業の柱として、PENT.の販売、フィットネス空間のプロジェクト、そしてトレーニングサービスのコンサルティングを挙げる。
邸宅にPENT.を導入するだけでは、その空間は完成しない。誰が、どのように使うのか。身体を本格的に鍛えたいのか、健康寿命を延ばしたいのか、あるいは日々のコンディションを整えたいのか。こうした目的によって、必要な機器も、空間の構成も、トレーニングメニューも変わってくる。
duxでは、パーソナルトレーナーの派遣や、個々の目的に合わせたトレーニングの伴走も視野に入れているという。企業のエグゼクティブ層に向けたウェルネスプログラムや、住宅の中で継続的に身体を整える仕組みまで含めて提案する。
duxが目指しているのは、単なる物販ではなく、空間と身体、日常の習慣を結びつける総合的なプロデュースである。
松嶋氏は将来的に、PENT.を実際に体験できるショールーム的な場をつくることも目標にしている。見るだけではなく、触れ、動かし、空間の中で体感する。その場が生まれれば、建築家やデザイナーにとっても、施主にとっても、ホームフィットネスの可能性はさらに具体的なものになるだろう。
PENT.が示すのは、ホームジムの高級化ではない。住まいの中に、身体を整えるための美しい場所をつくるという発想である。duxはその思想を、日本の住宅、別荘、ホテル、そしてラグジュアリーなライフスタイルの中に根づかせようとしている。
JAXSON TOKYOでの展示は、その第一歩であり、同時にひとつの宣言でもある。鍛える場所から、整える空間へ。 いま、PENT.とduxが提案する「Interior Fitness」は、日本のラグジュアリー空間に新たな余白をもたらそうとしている。

PENT. Temporary Gallery at JAXSON TOKYO展示概要
- 会期:2026年6月9日(火)〜8月6日(木)
- 会場:JAXSON TOKYO
- 住所:東京都港区赤坂3-3-3 1F
- 営業時間:10:30〜18:00
- 定休日:日曜日・月曜日
- 来場方法:完全予約制 ※JAXSONのウェブサイトよりお申込みください
- 問い合わせ:株式会社dux
- E-mail:contact@dux2025.com
- TEL:03-6865-8603

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取材
LWL online 編集部