マスターウォールが旭川に新拠点。小林幹也・近藤俊介が語った、暮らしに寄り添う家具の現在地
fy7d(エフワイセブンディー)代表/遠藤義人 取材/LWL online編集部
岡山発の家具ブランド、マスターウォールが、北海道・旭川に「マスターウォール エディションストア The North 旭川」をオープンした。旭川の家具産地イベント「Meet up Furniture Asahikawa 2026」に合わせて開設された新拠点では、デザイナーの小林幹也と近藤俊介が登壇。新作家具の背景と、これからの暮らしに求められる家具のあり方について語った。
家具産地・旭川に誕生した、マスターウォールの新たな拠点
「エディションストア The North 旭川」は、北海道・旭川の札幌ファニシング旭川NeoDesignショールーム内の常設店舗。これまでも旭川の製材・加工業者に依頼していたり、匠工芸とも縁があった等の事情が重なって、満を持してのオープンとなった。それこそ、近藤は匠工芸の元インハウスデザイナーであり、小林の作品の図面を引いたりといった旧知の仲でもある。

旭川NeoDesignショールームの一角を占める「エディションストア The North 旭川」では、小林の新作「UC11」や近藤の新作ブループリントローバックロッキングチェアをはじめ、マスターウォールの主要コレクションが展示・販売されている。
小林幹也が語る、生活空間の中での家具の佇まい
この日登壇した小林と近藤は、ブランド創設20周年を迎えたマスターウォールの商品開発の背景にあるストーリーや、これからの暮らしと家具の在り方を語り合った。
マスターウォールは、その名の通りウォールナットの素材感を生かしたソリッドな家具としてスタートした。テーブルのWILDWOOD(ワイルドウッド)はいまなお主力商品である。

「YU」シリーズがもたらした、軽やかさと柔らかさ
外部デザイナーを加え新たな展開を模索しはじめたのが2011年頃。白羽の矢が立ったひとりが小林で、2015年頃から開発をはじめ、2017年にリリースしたのが「YU(ユー)」シリーズだ。小林は当時を次のように振り返る。

「当時は、これから自社で椅子を製造していこうという段階で、デザイン提案とともに工場の整備を進めていくことになりました。質実剛健、力強さ、男らしさといったマスターウォールの世界観はかなり確立されていて、本当に私がそこに入っていっていいのかなという思いが最初はありました。そこで、少し柔らかい、ちょっと軽やかさが追加できたらいいと考え、比較的細身のフレームの椅子を開発するに至りました」
各店舗のセールススタッフは、これまでと異なるデザインにワクワクし、モチベーションも上がって好評だったという。
「私がデザインしたYUシリーズの椅子は何脚かあります。いま座っているUC3はアームが丸型でありながら肘はしっかり乗るよう幅広にしています。また、UC2はカーブを描く背もたれがしっかりホールドし程よい長さのアームが肘でしっかり保持できるようデザインさせていただきました」

私がデザインする上で常に意識しているのは、空間とバランスされた心地よさです。椅子であれば、テーブルに収まっている背面側からの姿だったり、3脚4脚で組んだときのバランスであったり、座ったときにちょうどよく感じる意匠バランスであったり。シンプルな椅子だからこそ、各部材の造形のバランスといった単体の美しさだけでなく、生活空間の中で違和感のないデザインになるのかを突き詰めます」



近藤俊介がロッキングチェアに込めた、憧れと安心感
「Blueprint」シリーズが広げる、ラウンジチェアの可能性
一方の近藤は、第3のデザイナーとしての立場を強く意識したと明かしつつ、自身がデザインするBlueprint(ブループリント)シリーズについて語った。

「すでにラインナップが築かれているダイニングテーブルやダイニングチェアではなく、ラウンジチェアをデザインしてほしいという話だったのでやりやすかったです。当初、ハイバック、ローバックの4本足のベーシックなラウンジチェアや畳擦り仕様に加え、ハイバック ロッキングチェアを提案したところ、売れないだろう、いや、売れなくても店頭にあるだけで憧れる存在になればいいと議論がありました。結果的にはロッキングチェアがヒットし、このたびローバック ロッキングチェアを開発することになりました」

「ブループリントシリーズは、店頭に立つセールススタッフさんに説明がしていただくことを目的に企画を考えたんですけれども、いま、ロッキングチェアに対しては、憧れとか、睡眠の安心感とか、懐かしさがあるといったお褒めの言葉をいただいています。時代に逆行しているかもしれませんが、それがもう一脚欲しいという存在になったのだとおもいます」

「そこでローバックのロッキングチェアでは、アームレスにしました。これにより、足を横にして座るなど、使い方を少しユーザーに委ねることができます。(ソリの後ろにつっかえ棒のように)加えたパーツも、アームがなくなったことによる強度不足を解消し、見た目の安心感を加えています」
マスターウォールらしい遊び心と、これからの暮らしへの提案
今後マスターウォールで取り組んでみたいデザインについて、小林と近藤が語り合った。

小林は、「元々マスターウォールさんは、卓球台やDJブースなど、他のメーカーさんが作らないアイテムを手掛ける遊び心がありました。家具を作ることは生活の提案でもあると思うのです。そこで、“YUの家”ではありませんが、空間や暮らし、生活のことをイメージしながら世界観を伝えていきたいですね」と語った。


近藤は、「市場に沿ったものを新しく開発できたらと思っています。まず、ブループリントシリーズを購入いただいたユーザーの方がより高齢になった時に必要になってくるような家具を一つ作りたい。一方で、自分の子供の世代が一人暮らしで使えるような、身近に感じられるコンパクトなものにもチャレンジしてみたいです」と語った。




施設概要
- マスターウォール エディションストア The North 旭川
- 北海道旭川市流通団地2条5丁目44 (札幌ファニシング 旭川NeoDesignショールーム内)
- E-MAIL / ws-tokyo@masterwal.jp
- Open / 10:00 – 18:00
- 定休日 / 火・水曜日
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fy7d(エフワイセブンディー)代表
遠藤義人
ホームシアターのある暮らしをコンサルティングするfy7d(エフワイセブンディー)代表。ホームシアター専門誌「ホームシアター/Foyer(ホワイエ)」の編集長を経て独立、住宅・インテリアとの調和も考えたオーディオビジュアル記事の編集・執筆のほか、システムプランニングも行う。「LINN the learning journey to make better sound.」(編集、ステレオサウンド)、「聞いて聞いて!音と耳のはなし」(共著、福音館書店。読書感想文全国コンクール課題図書、福祉文化財推薦作品)など。
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LWL online 編集部