京都建築センター、安藤忠雄設計「TIME’S」に開設。国内初の建築ツーリズム拠点

 取材/LWL online編集部

京都・三条の安藤忠雄氏設計「TIME’S」に、建築ツアー、展覧会、ライブラリー、ショップなどを備える「京都建築センター」が開設される。2026年8月5日に建築ツアーの受付とショップ営業を開始し、9月2日に施設全体をグランドオープン。建築ツアーを核に展示やライブラリーを複合した国内初の建築ツーリズム拠点として、建築から京都のまちを読み解く新たな入口となる。

京都建築センターのロゴ

建築ツアーから京都のまちへ。京都建築センターが担う役割

京都には、寺社や町家といった歴史的建造物だけでなく、近代建築から現代建築まで、さまざまな時代の建築が重層的に存在している。一方、その価値や成立の背景を知り、建築を通してまちを楽しむための常設拠点は、国内ではまだ十分に整備されてこなかった。

シカゴやウィーン、コペンハーゲン、アムステルダムなど、建築文化への関心が高い欧米の都市には「建築センター」が根づいている。建築に関する展示や資料を収蔵するだけでなく、建築ツアーの発着点となり、人々を実際の都市や建築へ送り出す役割を担う施設である。京都建築センターも、建物の中だけで完結するミュージアムではなく、京都のまち全体を体験のフィールドとする拠点を目指す。

施設では、専門ガイドによる建築ツアーの企画・実施をはじめ、展覧会、建築関連書籍や資料を閲覧できるライブラリー、書籍やグッズを扱うショップを展開する。さらに、建築の魅力を社会へ伝えるガイド養成講座や、講演会、セミナー、交流イベントも予定されている。

建築が生まれた背景や設計者の思想、都市との関係を知り、語り合い、そして再びまちへと出ていく。京都建築センターはそうした建築体験の入口として機能する拠点だ。

安藤忠雄設計「TIME’S」が建築文化の発信拠点に

京都建築センターが入居するのは、京都・三条の高瀬川沿いに立つ「TIME’S」。建築家・安藤忠雄氏が設計した複合施設で、その路面フロアがセンターとして活用される。

安藤忠雄設計の複合施設TIME’S外観、京都建築センター開設地
京都建築センターが入居する、安藤忠雄氏設計の複合施設「TIME’S」。京都・三条の高瀬川沿いに立つ

建築文化を発信する施設そのものが、ひとつの重要な建築作品である点も、このプロジェクトを象徴している。

資料を読んでから建築を見に行くのではなく、安藤忠雄氏が設計した建築作品の内部で展示や書籍に触れ、そこから京都のまちへと出かけていく。そして「TIME’S」はセンターの器であると同時に、最初に体験する展示物でもあるのだ。

施設の空間設計は、2025年大阪・関西万博の「休憩所4」を手がけたMIDW architectsの服部大祐氏、服部さおり氏と、studio archeの甲斐貴大氏が担当。既存建築の特性を生かしながら、受付カウンター、ショップ、ラウンジ、本棚、展示空間などの整備を進めている。

TIME’S内に開設される京都建築センターの内観イメージ
京都建築センターの内観イメージ。既存の「TIME’S」の空間を生かし、ショップ、ライブラリー、受付などを整備する
京都建築センターの施設構成イメージ、本棚やライブラリー、ショップ、受付を配置
京都建築センターの施設構成イメージ。本棚、ライブラリー什器、ラウンジベンチ、ショップ什器、受付カウンターなどを配置する

建築家約20組が選書するライブラリー「建築家の本棚」

ライブラリーでは、「まちと建築を楽しむ建築家の本棚」をコンセプトに、建築家ら約20組が選んだ書籍を収蔵・展示する予定である。

京都建築センターの「建築家の本棚」に選書で参加する建築家ら
ライブラリーでは、「まちと建築を楽しむ建築家の本棚」をコンセプトに、建築家ら約20組による選書本を収蔵・展示する予定

図面や専門書だけではなく、建築家がどのような本を読み、どのような文化や思想から影響を受けてきたのかを知る場にもなりそうだ。選書という行為を通じて、個々の建築作品の背後にある知的な風景へと触れられる。

ショップでは建築関連の書籍やグッズを扱うほか、8月5日からは「京都モダン建築祭」のパスポートや公式グッズも販売する。年に一度開催される建築祭と、年間を通して建築文化を伝える常設拠点が連携することで、京都の建築を継続的に発信する仕組みが整う。

ちなみに、2026年の京都モダン建築祭は、10月31日から11月8日まで開催予定である。

13エリア、約150件の建築が参加し、パスポートで自由に見学できる建築の公開や、専門家が案内するガイドツアーなどが実施される。TIME’Sも参加建築のひとつとして紹介されている。

「まいまい京都」と建築祭の知見を常設拠点へ

センターを運営する合同会社まいまいは、専門家とともに京都のまちを歩く「まいまい京都」をはじめ、年間2,000本以上のまち歩きツアーを実施してきた。「京都モダン建築祭」「神戸建築祭」「東京建築祭」の立ち上げや事務局運営にも携わっている。これまで期間限定のツアーやイベントとして培ってきた知見を、常設施設へと発展させるかたちとなる。

開設には、日本で初めて「建築センター」の名を冠した「けんちくセンターCoAK」を立ち上げた川勝真一氏も参画する。建築を専門家だけの閉じた領域にせず、市民や観光客が親しみ、楽しみ、語り合える文化として開くことが、施設全体の大きなテーマとなる。

建築祭や特別公開は、普段は入れない建築を体験できる貴重な機会だ。一方、開催期間が終われば、まちに蓄積された知識や関心が途切れてしまうという課題もある。

京都建築センターは、建築祭の熱気を日常へ接続し、次のツアーや展覧会、学びへと循環させる常設のハブとなる。建築を観光資源として消費するだけでなく、都市の文化として理解し、次世代へ継承するための基盤といえるだろう。

オープニング特別展「時がかたちづくる建築―TIME’Sと安藤忠雄―」

9月2日のグランドオープンにあわせて、オープニング特別展「時がかたちづくる建築―TIME’Sと安藤忠雄―(Time-Shaped Architecture: Tadao Ando and TIME’S)」が開催される。

展覧会では、センターが入居するTIME’Sを題材に、人、自然、建築の関係性を見つめ直す。新築時点の姿だけでなく、建築が都市の中で使われ、時間を重ねることでどのような価値を獲得していくのか。建築作品の内部で、その建築自体について考える展示となる。

京都建築センターは、実際に使い、歩き、学び、語りながら、建築と都市の関係を更新していく場所である。

京都を訪れる目的に「建築」を加え、建築を通して、これまでとは異なるまちの姿を発見する。そのための新たな入口が、三条のTIME’Sに誕生する。

京都建築センター 施設概要

  • 名称:京都建築センター/KYOTO ARCHITECTURE CENTER
  • 所在地:京都市中京区三条通河原町東入中島町92 TIME’S 路面フロア
  • 開館時間:10時~18時
  • 休館日:火曜日。祝日の場合は翌日休館
  • 運営:合同会社まいまい
  • 開設:2026年8月5日。建築ツアー受付、ショップ営業などを開始
  • グランドオープン:2026年9月2日予定。ギャラリー、ライブラリースペースを含む全施設を開設
  • 公式サイト

京都建築センターのクラウドファンディング概要

  • プロジェクト名:日本初、都市の中心で建築文化を発信する「京都建築センター」実現に向けて  ※クラウドファンディング掲載タイトル
  • 募集期間:2026年7月11日(土)〜2026年9月15日(火)
  • 目標金額:400万円
  • 支援ページ:MotionGallery「京都建築センター」プロジェクトページ

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